「弁済業務保証金分担金とは何?」
「営業保証金との違いは?」
「不動産業を始めるときにどちらを選べばよい?」
不動産開業する際、このような疑問を抱えるのではないでしょうか。
弁済業務保証金制度とは、保証協会に加入している宅地建物取引業者と消費者との取引で万が一トラブルが発生した際に、消費者を保護するための仕組みです。
営業保証金にも同様の役割がありますが、両者にはさまざまな違いがあります。
そこでこの記事では、以下の内容をくわしく解説していきます。
- 弁済業務保証金制度の役割
- 弁済業務保証金分担金と営業保証金の違い
- 弁済業務保証金分担金と営業保証金の選択基準
この記事を読むと、弁済業務保証金制度への理解が深まり、不動産開業の負担を軽減できるようになりますよ。
目次
弁済業務保証金制度には「消費者保護」と「宅建業者の負担軽減」の役割がある

弁済業務保証金制度は、
- 保証協会に加入する宅建業者が「弁済業務保証金分担金」を保証協会に納める
- 保証協会が「弁済業務保証金」を法務局に供託する
ことで、以下2つの役割を果たしています。
- 消費者保護
- 宅建業者の負担軽減
「弁済業務保証金」は、保証協会に加入している宅建業者と消費者との取引で損害が生じた場合に、消費者保護に充てられます。
たとえば宅建業者の経営悪化や倒産などの事態が発生しても、「弁済業務保証金」からの弁済を通して、消費者の利益が守られるのです。
また、宅建業者は保証協会に「弁済業務保証金分担金」を納付することで、高額な営業保証金の供託が免除されるため、開業時の負担が軽減される仕組みです。
弁済業務保証金分担金と営業保証金の違い

宅建業法では、宅建業者に対して「営業保証金」の供託を義務付けています。(※1)
しかし、保証協会に加入して「弁済業務保証金分担金」の納付をおこなうと、営業保証金の供託が免除されます。(※2)
「営業保証金の供託」「弁済業務保証金分担金の納付」どちらが良いのか判断するためにも、不動産開業を検討している人は、両者の違いを理解しておきましょう。
順番に解説していきます。
(※1)出典:e-GOV 法令検索「宅建業法」第二十五条
(※2)出典:(公社)全国宅地建物取引業保証協会
営業保証金の特徴
営業保証金は、不動産会社が法務局に直接供託所に供託する金銭をさします。
弁済業務保証金分担金と比べて高額で、具体的な金額は以下のとおりです。
対象 | 金額 |
本店(主たる事務所) | 1,000万円 |
支店(従たる事務所) | 500万円(1か所につき) |
出典:国土交通省 近畿地方整備局「宅地建物取引業の範囲・免許権者・免許の要件等・有効期間について」
たとえば「本店+ひとつの支店」をもつ不動産会社のケースでは「合計1,500万円」の供託が必要となるのです。
さらに、新しく支店を開設する場合は「営業開始前」に供託を完了する必要もあります。
事業拡大の際にも、大きな金銭的負担がかかるのです。
ただし営業保証金の供託は、「現金」のほか「国債」「有価証券」などでも行えます。
弁済業務保証金分担金の特徴
弁済業務保証金分担金は、宅建業者が保証協会に加入する際に納付する金銭です。
宅建業者は、保証協会に弁済業務保証金分担金を納付することで、高額な営業保証金の供託が免除されます。
弁済業務保証金分担金の最大の特徴は、比較的少額の分担金で済む点で、具体的な金額は以下のとおり。
対象 | 金額 |
本店(主たる事務所) | 60万円 |
支店(従たる事務所) | 30万円(1か所につき) |
出典:国土交通省 近畿地方整備局「宅地建物取引業の範囲・免許権者・免許の要件等・有効期間について」
たとえば、「本店+ひとつの支店」をもつ不動産会社の場合「合計90万円」の分担金の納付が必要です。
営業保証金と比べてかなり低額であり、開業時の初期費用をおさえたい事業者にとっては嬉しいポイントになります。
ただし、弁済業務保証金分担金の納付は「現金のみ」である点は覚えておきましょう。
なお保証協会には「全国宅地建物取引業保証協会(通称ハト)」と「不動産保証協会(通称ウサギ)」の2種類が存在します。
両者の違いについては、下記を参考にしてください。
https://iimon.co.jp/column/all-japan-real-estate-association-real-estate-guarantee-association-difference
弁済業務保証金分担金と営業保証金の選択基準

弁済業務保証金分担金と営業保証金のどちらを選択するかは、おもに以下の4点を考慮して決めるとよいでしょう。
考慮する点 | 詳細 |
初期費用 | 弁済業務保証金分担金のほうが少額で済む |
事務手続き | 営業保証金のほうが手続きは簡単 |
サポート体制 | ・弁済業務保証金分担金を納めて保証協会に加入すると、研修や情報提供などのサポートを受けられる ・不動産業界に不慣れな新規開業者にとっては有益 |
将来の事業計画 | 営業保証金のほうが、事務所の増設などに柔軟に対応できる可能性あり |
ひとつのデータとして、宅地建物取引業者の「8割」は保証協会に加入しているといわれています(※1)。
つまり、弁済業務保証金分担金を選択している人が多いといえるでしょう。
ただし、個々の事業状況や将来計画に応じた選択が大切です。
(※1)出典:鹿児島県宅地建物取引業協会「(公社) 全国宅地建物取引業保証協会とは」
弁済業務保証金分担金の納付の流れ

弁済業務保証金分担金の納付手続きは、流れは以下のとおりです。
- 保証協会への加入申請を行う
- 保証協会から承認を受ける
- 指定された期日までに弁済業務保証金分担金を納付する
なお新規開業する場合は、手続きを「開業前」に完了させる必要がある点は覚えておきましょう。
加入手続きは、保証協会によって異なります。
詳細は以下で確認してください。
不動産保証協会の役割について詳しくは、下記を参考にしてください。
https://iimon.co.jp/column/real-estate-guarantee-association
不動産開業を軌道に乗せる「速いもんシリーズ」

開業はゴールではありません。
開業してから、安定した経営をつづけていくのが一番の目的ですよね。
安定した経営を行うためには業務効率化が欠かせません。
そこでおすすめしたいのが、(株)iimonが提供している速いもんシリーズ。
速いもんシリーズとは、不動業における業務効率化を推進するツールで以下9種類で展開されています。
サービス名 | 特徴 |
不動産ポータルサイトへの入力作業を効率化 | |
賃貸物件の新着・更新情報の洗い出しを効率化 | |
ライバル会社の掲載状況を自動分析 | |
物件情報を1クリックでPDF・URL化 | |
賃貸物件情報の元付会社を簡単に特定 | |
売買・賃貸物件の募集状況をまとめて確認 | |
1サイトで複数サイトの物件検索が可能 | |
見積書をワンクリックで瞬時に作成 | |
入力間違い╱他社募集╱条件判定を1クリックで判定 |
たとえば「入力速いもん」は、不動産ポータルサイトへの物件登録作業を簡単に効率化できるもの。
操作としては、
- 業者間流通サイトの物件情報を「1クリック」で保存
- 物件入力画面へ「1クリック」で反映
と、最短「2クリック」で物件登録作業が完了するのです。
【成功事例】入力速いもん導入で入力業務の効率が3倍に!
ここでは、開業直後に「入力速いもん」「変換速いもん」を導入した不動産会社の事例を解説します。
おもに千代田区の賃貸仲介をしている「株式会社チアエステート」では、以下のような業務課題がありました。
- 物件登録作業に時間がかかり、仕事が進まない
- 物件登録作業に不慣れていない新人スタッフも多く、なおさら時間がかかる
しかし「入力速いもん」導入で、
- 物件掲載スピード・数が3倍にアップ!
- 新人スタッフの入力時間短縮!
- 操作法が簡単なため教育コストがかからない!
といった成果をあげられました。
まとめ
「弁済業務保証金分担金」と「営業保証金」には、いずれも消費者保護などの役割がありますが、両者にはさまざまな違いがあります。
営業保証金 | 弁済業務保証金分担金 | |
金額 | ・本店(主たる事務所):1,000万円 ・支店(従たる事務所):500万円(1か所につき) | ・本店(主たる事務所):60万円 ・支店(従たる事務所):30万円(1か所につき) |
支払場所 | 法務局に供託 | 保証協会に納付 |
支払方法 | 現金、国債、有価証券など | 現金のみ |
備考 | 弁済業務保証金分担金を納付することで免除される | 保証協会への加入が必要 |
営業保証金の供託は、保証協会に加入して弁済業務保証金分担金を納付することで免除されます。
開業時の経済的負担の軽さから、弁済業務保証金分担金の納付を選択する人が多くなっています。
また不動産開業後の経営安定化には、業務効率化が必須です。
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iimon 編集部