不動産を売却したいと考えているものの、
「何から始めればいいのかわからない」
「どの方法が自分に合っているのか」
などと悩んでいませんか?
不動産売却には、仲介・買取・任意売却・リースバックという4つの方法があり、それぞれにメリット・デメリットや適している人の違いがあります。
売却の目的や状況に応じて最適な方法を選ぶことが、成功への第一歩です。
そこでこの記事では、初めて不動産を売却する方でも安心して進められるよう、
- 4つの売却方法の特徴や準備
- 決済までの7ステップ
- 相続や離婚など状況別の対応方法
までを詳しく解説します。
目次
【目的別】不動産売却の4つの方法

不動産の売却方法は、大きく分けて
- 仲介
- 買取
- 任意売却
- リースバック
の4種類があります。
それぞれ売却にかかる期間や価格、向いている状況が大きく異なるため、自分の目的や事情に合った方法を選ぶことが重要です。
各方法の特徴やメリット・デメリットを詳しく見ていきます。
仲介:高く売りたい人向け
仲介とは、不動産会社に買い手を探してもらう、一般的な売却方法です。
不動産会社が広告活動や購入希望者との交渉を行い、売主と買主の橋渡し役を担います。
仲介の主なメリット・デメリットは、以下のとおりです。
メリット | ・市場価格に近い金額での売却が期待できる ・複数の購入希望者のなかから条件を比較・交渉しやすい |
デメリット | ・買い手が見つかるまで時間がかかる可能性がある ・仲介手数料が発生する |
仲介手数料の上限は、売却価格が400万円を超える場合は「売却価格×3%+6万円+消費税」と法律で定められています。
たとえば売却価格が3,000万円の場合、仲介手数料の上限は「3,000万円×3%+6万円+消費税=約105.6万円」となります。
売却にかかる期間は、査定から引き渡しまで3か月以上が一般的で、条件や物件によっては1年以上かかるケースも珍しくありません。
「多少時間がかかっても、できるだけ高く売りたい」「相場に近い価格での売却を希望する」という方に適した方法です。
買取:早く現金化したい人向け
買取とは、不動産会社が直接物件を買い取る方法です。
個人の買い手を探す必要がないため、仲介と比べて大幅にスピーディーな現金化が期待できます。
買取の主なメリット・デメリットは、以下のとおりです。
メリット | ・査定から1週間〜1か月程度で決済・引き渡しまで完了できる ・仲介手数料が不要 ・内覧対応が不要 ・周囲に売却を知られにくい |
デメリット | 売却価格が仲介の7〜8割程度になる傾向がある |
売却価格が低くなる理由は、不動産会社が買い取った物件をリフォームして再販するビジネスモデルのため、その費用分が差し引かれるからです。
急いで現金化したい方、相続した物件を早期に処分したい方、築年数が古い物件や訳あり物件を持つ方にとって現実的かつ有効な選択肢といえます。
不動産買取を利用する際の注意点に関しては、以下の記事でも詳しく解説しているのであわせてご覧ください。
https://iimon.co.jp/column/real-estate-purchase-precautions
任意売却:住宅ローンが残っている人向け
任意売却とは、住宅ローンの返済が困難になった場合に、金融機関の合意のもとで抵当権(住宅ローンの担保として設定される権利)を外してもらい、不動産を売却する方法です。
通常、不動産を売却する際はローンを完済して抵当権を抹消する必要がありますが、売却価格がローン残債を下回る場合はその手続きが取れません。
そのような状況に置かれた方のための手段が、任意売却です。
任意売却の主なメリット・デメリットは、以下のとおりです。
メリット | ・競売(強制的に売却される手続き)を回避できる ・市場価格に近い金額での売却が見込める ・引越し費用の一部を負担してもらえるケースがある |
デメリット | ・金融機関の同意が必要 ・信用情報(クレジットカードやローンの審査に使われる情報)に影響が出る可能性がある |
任意売却は、手続きが複雑なうえ、進められる期間にも限りがあります。
「返済が苦しくなってきた」と感じた段階で、できるだけ早めに金融機関や任意売却の専門家に相談することが、選択肢を広げるうえで重要です。
リースバック:売却後も住み続けたい人向け
リースバックとは、自宅を売却したあとも、その物件を買い取った会社と賃貸借契約を結ぶことで、同じ家に住み続けられる方法です。
所有権は買主に移りますが、毎月の家賃を払うことで引き続き居住できます。
リースバックの主なメリット・デメリットは、以下のとおりです。
メリット | ・住み慣れた家を離れずに資金調達ができる ・固定資産税・修繕費の負担がなくなる ・引越しが不要 |
デメリット | ・売却価格が市場相場より低くなる傾向がある ・毎月の家賃が発生する ・将来的に買い戻す場合は売却価格より高くなる |
老後資金を確保したいが住み慣れた家を離れたくない方、事業資金が必要な経営者、相続対策を検討している方など、「資金は必要だが生活環境は変えたくない」という状況にある方に向いている方法です。
【7ステップで解説】不動産売却の流れ

不動産売却は、主に以下の流れで進みます。
- 売却前の準備を行う
- 相場を調べる
- 不動産会社に査定依頼
- 不動産会社を選び媒介契約を結ぶ
- 売却活動・内覧対応
- 売買契約の締結
- 決済・引き渡し
各ステップで何をするのかを事前に把握しておくことで、焦らず・後悔なく売却を進められるでしょう。
各ステップを詳しく解説するので、参考にしてみてください。
Step1:売却前の準備を行う
不動産売却をスムーズに進めるうえで、事前準備は重要なステップです。
まず行うべきなのは、「なぜ売却するのか」という目的を明確にすることです。
住み替え・相続・離婚・資金調達など、売却理由によって優先すべきスケジュールや価格の設定方針が変わります。
目的を整理したうえで、以下の3点を事前に確認・準備しておきましょう。
やるべきこと | 内容 |
売却目標の設定 | ・「いつまでに売りたいか」「最低いくらで売りたいか」を決めておくと、不動産会社との打ち合わせがスムーズになる ・目安が立たない場合でも、売却の目的をしっかり伝えることで、不動産会社が逆算してスケジュールを提案してくれる |
住宅ローン残債の確認 | ローンが残っている場合、売却代金で完済できるかどうかによって選ぶべき売却方法が異なる |
必要書類の所在確認 | 権利証(登記識別情報)や固定資産税納税通知書など、売却に必要な書類の場所を把握しておくと、後の手続きが円滑に進む |
また、家族がいる場合は、売却の意思について全員が同意しているかを事前に確認しておくことも大切です。
家族間での認識のズレが、後々のトラブルにつながることがあるため、早い段階で話し合いの場を設けましょう。
Step2:相場を調べる
不動産会社に査定を依頼する前に、まず自分で相場を把握しておくことが重要です。
相場感を持っていることで、査定額が適正かどうかを自分で判断できるようになり、不動産会社の言いなりになるリスクを避けられます。
相場を調べる方法は、主に以下の3つです。
調査方法 | 概要 |
・国土交通省指定の不動産流通機構が運営するサイトで、実際の成約価格(実際に売れた価格)を検索できる ・築年数や駅からの距離などの条件で絞り込めるため、自分の物件に近い事例を探しやすいのが特長 | |
・国土交通省が運営するサイトで、実際の取引価格や公示地価(国が毎年発表する土地の価格の目安)を地図上で確認できる | |
不動産ポータルサイト (スーモやホームズなど) | ・現在売り出し中の類似物件の価格をチェックできる ・ただし、これらに掲載されているのは「売り出し価格」であり、実際に売れた「成約価格」ではない点に注意が必要 |
複数のサイトを組み合わせることで、より精度の高い相場感をもてるでしょう。
Step3:不動産会社に査定依頼
相場を把握したら、不動産会社に査定を依頼します。
査定は基本的に無料であり、査定を受けたからといって契約する必要はありません。
査定には大きく分けて、以下の2種類あります。
査定方法 | 概要 |
机上査定 | ・物件の所在地や築年数などの情報をもとに、担当者が来訪することなく概算価格を算出する方法 ・数日以内に結果が出るため、複数社を手軽に比較できる |
訪問査定 | ・担当者が実際に物件を訪れて、室内の状態や周辺環境なども踏まえたうえで詳細な査定額を算出する方法 ・時間はかかるが、より正確な価格を把握できる |
まずは複数社に机上査定を依頼して価格の幅を把握し、そのなかから対応が信頼できそうな会社に訪問査定を依頼するという流れが効率的です。
不動産会社によって査定額が数百万円単位で異なることも珍しくないため、必ず複数社に依頼することをおすすめします。
1社だけの査定額を鵜呑みにすることは、売却の機会損失や、逆に過剰な期待につながるリスクがあります。
Step4:不動産会社を選び媒介契約を結ぶ
査定結果と不動産会社の対応を比較したうえで仲介を依頼する会社を決めたら、「媒介契約」を結びます。
媒介契約とは、不動産会社に売却活動を依頼するための正式な契約のことです。
媒介契約には以下の3種類があり、それぞれ特徴が異なります。
項目 | 専属専任媒介 | 専任媒介 | 一般媒介 |
契約できる会社数 | 1社のみ | 1社のみ | 複数社可能 |
自己発見取引 (売主が自分で買主を見つけて直接取引すること) | 不可 | 可能 | 可能 |
レインズ登録義務 | あり(5日以内) | あり(7日以内) | なし(任意) |
報告義務 | 1週間に1回以上 | 2週間に1回以上 | なし |
契約期間 | 3か月以内 | 3か月以内 | 制限なし(通常3か月) |
メリット | ・手厚いサポート ・積極的な販売活動 ・優先的に対応してもらえる | ・積極的な販売活動 ・自分で買主を見つけることも可能 ・定期的な報告がある | ・複数社に依頼できる ・広く買主を探せる ・会社間で競争が生まれる |
デメリット | ・自由度が最も低い ・他社の意見を聞けない | ・他社の意見を聞けない ・相性が合わないと困る | ・報告義務がない ・不動産会社の積極性が下がる ・レインズ登録されない可能性 |
不動産会社を選ぶ際には、査定額の高さだけでなく、以下のポイントにも着目することが重要です。
- 査定の根拠を明確に説明してくれるか
- デメリットも正直に伝えてくれるか
- 質問に対して誠実に答えてくれるか
- 類似物件の売却実績が豊富か
- 担当者の対応が迅速で信頼できるか
売却活動は数か月にわたるため、担当者との相性や信頼感も重要な判断基準のひとつです。
以下の記事では、不動産会社選びで欠かせないポイントを解説しているので参考にしてみてください。
https://iimon.co.jp/column/where-to-sell-real-estate
Step5:売却活動・内覧対応
媒介契約を結ぶと、不動産会社が本格的な売却活動を開始します。
不動産会社が担う主な業務は、以下のとおりです。
- 不動産ポータルサイトへの物件掲載
- チラシのポスティング
- レインズへの登録
- 購入希望者との日程調整
- 価格交渉のサポートなど
売主が中心となって行うのは、主に「内覧対応」です。
住みながら売却する場合、内覧(購入希望者が実際に物件を見学すること)には売主自身が対応することが一般的です。
売主が直接対応することで、物件の特徴や住み心地、周辺環境の情報をリアルに伝えられるため、購入希望者の信頼を得やすくなります。
内覧前には部屋を整理・清掃し、できる限り良い印象を与える準備をしておくことが大切です。
Step6:売買契約の締結
購入希望者が見つかり、価格や条件について合意が得られたら、いよいよ売買契約の締結です。
契約当日に必要な書類は不動産会社から事前にリストを受け取れるので、早めに準備しておきましょう。
契約の際には、買主から「手付金」を受け取ります。
手付金は売買代金の一部として扱われ、残りの金額は後日の決済時に受け取ります。
手付金の具体的な金額については、不動産会社と事前に相談して決めるのが一般的です。
また、契約書の内容は将来のトラブルを防ぐために重要です。
可能であれば契約日より前に契約書の草案を確認し、不明な点や気になる条件はすべてクリアにしてから締結するようにしましょう。
Step7:決済・引き渡し
売買契約の締結後は、最終ステップとなる「決済・引き渡し」を行い、売買代金の受け渡しと所有権の移転を行います。
決済は通常、買主が住宅ローンを組んでいる銀行で行われ、当日は以下の関係者が集まります。
- 売主
- 買主
- 不動産会社の担当者
- 司法書士
当日の流れは、以下のとおりです。
- 登記書類の確認・本人確認
- 買主から残代金(手付金を除いた残りの金額)の振り込み
- 入金確認後、鍵・関連書類を買主に引き渡し
- 司法書士による所有権移転登記の手続き
- 住宅ローンが残っている場合は、同時に抵当権抹消登記も実施
- 不動産会社への仲介手数料(残額)の支払い
なお、遠方に住んでいる場合などは、売主が現地に立ち合わない形で決済が行われることもあります。
その場合は事前に司法書士との面談や書類のやり取りが行われるため、担当者の指示に従って準備を進めましょう。
引き渡し日までには必ず引越しを完了させ、部屋のなかをすべて空にしておく必要があります。
残置物があるとトラブルの原因になるため、不用品は早めに処分するか、事前に買主と取り扱いを合意しておくことが大切です。
また、以下の手続きも忘れずに対応しましょう。
- 公共料金(電気・ガス・水道)の精算・解約
- 郵便物の転送手続き
- 住民票の移動
- 設備の取扱説明書・保証書の買主への引き継ぎ
決済時にやるべきことは売主によって異なるので、必ず依頼する不動産会社に確認しておきましょう。
【状況別】不動産売却でこんなときはどうする?

相続・離婚・古家付き土地など、特殊な事情がある場合には、通常の流れに加えて個別の対応が必要になります。
代表的な3つの状況について、具体的な対応方法を解説します。
相続した不動産を売る場合
相続した不動産を売却するには、まず「相続登記」を行う必要があります。
相続登記とは、亡くなった方(被相続人)から相続人へ、不動産の名義を正式に変更する手続きのことです。
相続登記には、以下のような書類が必要になります。
- 戸籍謄本
- 遺産分割協議書
- 印鑑証明書
複数の相続人がいる場合は、遺産分割協議(誰が何を相続するかを決める話し合い)を経てから登記を進めます。
2024年4月からは相続登記が法律で義務化され、相続による不動産の取得を知った日から3年以内に登記しないと、過料が科される可能性があります。(※1)
そのため、早めに手続きを進めることが重要です。
また、相続した空き家を売却する場合、一定の条件を満たせば「3,000万円特別控除」が適用され、譲渡所得(売却益)にかかる税金を大幅に抑えられる可能性があります。(※2)
ただし、築年数や耐震基準など細かい要件があるため、売却を検討する段階で税理士に相談するのがおすすめです。
(※1)出典:法務局「相続登記が義務化されました(令和6年4月1日制度開始)~なくそう 所有者不明土地 !~」
(※2)出典:国税庁「No.3306 被相続人の居住用財産(空き家)を売ったときの特例」
離婚で家を売る場合
離婚に伴う不動産売却では、「財産分与」と名義変更のタイミングが重要です。
財産分与とは、婚姻中に築いた財産を離婚時に夫婦で分ける手続きのことで、一般的には2分の1ずつ分けることが多いです。(※3)
家の売却方法には、主に以下の2パターンがあります。
- 離婚前に売却して現金化してから分ける:両者の合意がとれているうちに手続きを進めやすく、トラブルを防ぎやすい
- 離婚後に売却する:どちらかが引き続き住んでいる状態で売却活動を行うため、内覧対応など双方の協力が必要
住宅ローンが残っている場合は、売却代金でローンを完済できるかどうかを確認することが最初のステップです。
完済できない場合は、任意売却の検討や、残債の負担方法について話し合いが必要になります。
また、離婚後に家の名義を変更する場合は、「財産分与を原因とする所有権移転登記」という手続きが必要です。
感情的になりやすい状況だからこそ、早い段階で不動産会社や専門家に相談し、冷静に手続きを進めることが大切です。
(※3)出典:法務省「財産分与」
古家付き土地の場合
古い建物が建っている土地を売却する場合、まず「更地にして売るか」「建物付きのまま売るか」を判断する必要があります。
それぞれのメリット・デメリットを整理すると、以下のとおりです。
メリット | デメリット | |
更地にして売る場合 | ・買主が新築を建てやすい ・土地の価値がわかりやすく伝わる ・古家の状態次第では買い手が見つかりやすくなる | ・解体費用(数十万〜100万円以上かかるケースも)が発生する ・更地にすると固定資産税の軽減措置がなくなり、課税標準額が最大6倍になる(※4) |
建物付きのまま売る場合 | ・解体費用がかからない ・買主がリフォームして活用できる可能性がある | ・買主の用途が限定される可能性がある ・古家の状態によっては印象が悪くなることも |
どちらが有利かは、建物の築年数・状態・立地・周辺の需要によって異なります。
不動産会社に「更地にした場合」と「古家付きの場合」の両方の査定を依頼し、費用対効果を比較したうえで判断するのがおすすめです。
(※4)出典:NPO法人 空家・空地管理センタ「空き家を解体し、更地にすると固定資産税が6倍になるって本当ですか?」
まとめ
不動産売却には「仲介」「買取」「任意売却」「リースバック」の4つの方法があり、自分の目的や状況に合った方法を選ぶことが、スムーズかつ満足のいく売却につながります。
売却の流れは7つのステップで進み、事前準備と相場の把握が成功の鍵を握ります。
相続・離婚・古家付き土地など特殊な事情がある場合は、専門家へ早めに相談しましょう。

iimon 編集部












