「共有名義の不動産を売りたいけれど、どうすれば良いかわからない」
「共有者と話し合いがうまく進まず、売却の手続きが止まっている」
このような悩みを抱えている方は多いのではないでしょうか。
共有名義の不動産売却は、単独名義の場合と異なり、共有者との調整が必要なため、手続きが複雑になりやすい特徴があります。
しかし、不動産売却の正しい知識やポイントを押さえておけば、スムーズに進められるでしょう。
この記事では、共有名義の不動産売却方法や、スムーズに進める4つのポイントについて詳しく解説します。
この記事を最後まで読むと、共有名義の不動産売却の理解が深まり、自信を持って手続きを進められるようになりますよ。
目次
共有名義の不動産売却方法

共有名義の不動産を売却する方法は、主に以下の3つです。
- 共有者全員で売却する
- 自分の持分のみを売却する
- 共有物分割請求を行う
それぞれ詳しく解説します。
1. 共有者全員で売却する
最も一般的なのが、共有者全員の同意を得て、不動産を売却する方法です。
民法上、共有不動産の全体売却は「変更行為」に該当し、以下のとおり共有者全員の同意が必要になると定められています。
(共有物の変更)
第二百五十一条 各共有者は、他の共有者の同意を得なければ、共有物に変更(その形状又は効用の著しい変更を伴わないものを除く。次項において同じ。)を加えることができない。
2 共有者が他の共有者を知ることができず、又はその所在を知ることができないときは、裁判所は、共有者の請求により、当該他の共有者以外の他の共有者の同意を得て共有物に変更を加えることができる旨の裁判をすることができる。
共有者全員が足並みをそろえる必要があるため、調整に手間がかかる可能性があります。
しかし、市場価格に近い金額で売却しやすく、今回紹介している方法のなかで最も高値が期待できます。
共有者の間で売却の意向が一致している場合は、まずこの方法を検討しましょう。
2. 自分の持分のみを売却する
共有者全員の合意が得られない場合、自分の持分だけを売却する方法があります。
自分の持分のみを売却する場合、売却先によって以下の3つの選択肢があります。
- 共有者に売却する
- 第三者に売却する
- (土地の場合)分筆して売却する
共有者に売却する
1つめは、自分の持分を他の共有者に買い取ってもらう方法があります。
共有者に買い取ってもらえれば、共有名義を解消できます。
買い取った共有者は持分割合が増えるため、将来的に単独所有へ移行しやすくなるでしょう。
この方法は、自分と共有者双方にとって利益が生まれやすく、交渉もまとまりやすい選択肢といえます。
第三者に売却する
2つめは、他の共有者の同意を得ずに、自分の持分を第三者へ売却する方法があります。
他の共有者の同意が不要な点はメリットですが、第三者が新たな共有者となるため、既存の共有者との関係が複雑になるリスクがあります。
また、持分のみの売却は買い手を見つけにくく、売却価格が低くなる傾向もあるため、リスクを理解したうえで判断することが重要です。
(土地の場合)分筆して売却する
3つめは、土地を共有名義で所有している場合、分筆(土地を複数に分ける手続き)を行ったうえで、自分の持分に対応する土地だけを売却する方法があります。
ただし、建物が建っている土地は、分筆後の利用が制限されます。
更地や農地など、建物のない土地に適した方法です。
3. 共有物分割請求を行う
共有者間での話し合いや持分売却でも解決できない場合、「共有物分割請求」という法的手段を活用できます。
共有物分割請求とは、裁判所に申し立てを行い、共有状態を解消する制度のことです。
主な分割方法は以下のとおりです。
分割方法 | 内容 |
現物分割 | 不動産を物理的に分割し、各共有者が単独で所有する |
代償分割 | 1人が不動産を取得し、他の共有者に持分相当額を金銭で支払う |
換価分割 | 不動産を売却し、得た代金を持分割合に応じて分配する |
共有物分割請求は、共有者間での合意形成が困難な場合に有効ですが、手続きに時間とコストがかかります。
まずは話し合いによる解決を優先しつつ、どうしても合意が得られない場合の最終手段として検討しましょう。
共有名義の不動産売却をスムーズに進める4つのポイント

共有名義の不動産売却をスムーズに進めるには、以下の4つのポイントが重要です。
- 委任状を作成して代表者を決める
- 税金や費用の負担割合を決めておく
- 余裕を持ったスケジュールを立てる
- 確定申告を忘れずに行う
それぞれ詳しく解説します。
1. 委任状を作成して代表者を決める
共有者全員が合意して不動産を売却する場合、原則として全員が契約の場に立ち会う必要があります。
ただし、遠方に住んでいる共有者がいるなど、全員が集まれないケースも多いでしょう。
そのような場合は、委任状を作成して代表者を1人決め、その代表者が手続きをまとめて進める方法が有効です。
委任状には委任する内容と範囲を明確に記載し、委任者の署名・捺印が必要になります。
書式に不備があると手続きが止まる原因になるため、事前に不動産会社や司法書士に書式を確認してもらうと安心です。
2. 税金や費用の負担割合を決めておく
仲介手数料や印紙税などの費用を誰がどの割合で負担するかを、売却前に共有者間で合意しておくことが大切です。
一般的には、持分割合に応じて税金や費用を按分します。
費用の分担は「聞いていない」「不公平だ」とトラブルになりやすい部分でもあるため、あらかじめ取り決めておくことで、売却後のやり取りもスムーズになります。
3. 余裕を持ったスケジュールを立てる
共有名義の不動産売却は、共有者間の調整や書類の準備に時間がかかるため、単独名義の売却よりも期間が長くなりやすいです。
スケジュールに余裕がないと、不利な条件のまま売却を進めてしまうリスクもあります。
売却活動の開始から引き渡しまでには3〜6か月程度を見込み、逆算して早めに動き始めることが重要です。
なお、相続や離婚で共有名義になった場合は、相続登記や財産分与など並行して進める手続きも多いため、不動産会社や専門家への相談はできるだけ早い段階で行いましょう。
4. 確定申告を忘れずに行う
売却後の手続きとして、確定申告も忘れずに行う必要があります。
確定申告は、以下のいずれかに該当する場合に必要です。
- 売却によって利益(譲渡所得)が発生した場合
- 3,000万円特別控除などの特例を利用する場合
- 売却によって損失が発生し、損益通算などの特例を適用する場合
確定申告の期間は、売却した翌年の2月16日から3月15日です。
期限を過ぎると、延滞税や無申告加算税などのペナルティが課される可能性があるため、必ず期限内に申告しましょう。
なお、共有名義の場合は各共有者がそれぞれ確定申告を行う必要があるため、共有者間で申告漏れがないよう事前に確認しておきましょう。
※出典1:国税庁|No.3302 マイホームを売ったときの特例
※出典2:国税庁|No.1391 不動産所得が赤字のときの他の所得との通算
まとめ
共有名義の不動産売却方法は、主に以下の3つです。
- 共有者全員で売却する
- 自分の持分のみを売却する
- 共有物分割請求を行う
どの方法を選ぶかによって、手続きの流れや期間、売却価格に大きな差が生まれます。
まずは共有者間でしっかりと話し合い、全員が納得できる方法を選ぶことが重要です。
共有名義の不動産売却は、共有者間の調整が必要になり、単独名義よりも時間と手間がかかります。
スムーズに進めるためには、早い段階で不動産会社や専門家に相談し、余裕を持ったスケジュールで進めることが大切です。
この記事で紹介した内容を参考に、納得のいく売却を実現してください。

iimon 編集部












