不動産買取は、短期間で確実に売却できる一方、仲介よりも価格が下がりやすいなど、事前に理解しておくべき注意点が多い売却方法です。
十分な知識がないまま進めてしまうと、「思っていたより安く売ってしまった」「契約後にトラブルになった」と後悔するケースも少なくありません。
そこで本記事では、不動産買取を利用する際の主な注意点をはじめ、実際に起こりやすいトラブル事例、信頼できる買取業者の選び方までを詳しく解説します。
目次
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不動産買取を利用する際の5つの注意点
注意点1:買取価格が市場価格よりも低くなることが多い
注意点2:即時買取と買取保証の2種類がある
注意点3:住宅ローンは完済する必要がある
注意点4:仲介手数料以外の諸費用が発生する
注意点5:買取不可の場合がある
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不動産買取で実際に起こりやすいトラブル
トラブル1:契約後に査定額を下げられた
トラブル2:手数料や追加費用を請求された
トラブル3:クーリングオフが適用されなかった
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信頼できる不動産買取業者の選び方
複数の不動産買取業者に査定を依頼して比較する
不動産買取業者の得意分野と実績を確認する
担当者の対応も判断材料にする
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不動産買取の注意点を踏まえた判断ポイント
価格とスピードの優先順位
物件条件と売却期限の整理
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まとめ
不動産買取を利用する際の5つの注意点

不動産買取を検討する際は、以下の注意点を押さえておきましょう。
- 買取価格が市場価格よりも低くなることが多い
- 即時買取と買取保証の2種類がある
- 住宅ローンは完済する必要がある
- 仲介手数料以外の諸費用が発生する
- 買取不可の場合がある
それぞれ詳しく見ていきましょう。
注意点1:買取価格が市場価格よりも低くなることが多い
不動産買取では、買取価格が市場価格の70〜80%程度になるのが一般的です。
たとえば、市場価格が3,000万円の物件であれば、買取価格は2,100〜2,400万円程度が目安となります。
この価格差が生まれるのは、買取業者が物件を買い取った後、リフォームや修繕を行い再販するビジネスモデルだからです。
リフォーム費用や保有期間中の固定資産税、再販時の利益などを見込んだ金額が買取価格となるため、一般的な仲介での売却と比べて価格が下がります。
ただし、買取には短期間で確実に現金化できるというメリットがあります。
価格だけでなく、スピードや確実性も含めて総合的に判断することが重要です。
注意点2:即時買取と買取保証の2種類がある
不動産買取には、「即時買取」と「買取保証」の2種類があります。
即時買取は、不動産会社が物件を直接すぐに買い取る方法です。
申し込みから1週間〜1か月程度で現金化できるため、即時買取は急いで売却したい方に適しています。
一方、買取保証は、まず一定期間仲介で売却活動を行う方法です。
期限内に買い手が見つからなかった場合、事前に約束した価格で買取業者が買い取ってくれます。
少しでも高く売りたいが売却期限がある方には、買取保証が適しているでしょう。
自分の状況や希望に合わせて、どちらの方式を選ぶか検討してください。
注意点3:住宅ローンは完済する必要がある
不動産を売却する際は、買取でも仲介でも住宅ローンを完済し、抵当権を抹消しなければなりません。
抵当権とは、金融機関が物件を担保にする権利のことで、抵当権が残ったままでは、物件を売却できません。
買取価格でローン残債を完済できない場合は、自己資金で不足分を補うか、住み替えローンなどの利用を検討する必要があります。
買取は仲介より売却価格が低くなるため、ローン完済のハードルが高くなる点に注意が必要です。
売却前に必ずローン残高を確認し、完済可能かどうかを金融機関や不動産会社に相談しましょう。
事前に返済計画を立てておくことで、スムーズな売却が実現できます。
注意点4:仲介手数料以外の諸費用が発生する
不動産買取では仲介手数料は不要ですが、そのほかの諸費用は発生します。
主な費用は、以下のとおりです。
- 印紙税(売買契約書に貼付)
- 抵当権抹消の登記費用
- 司法書士への報酬
- 測量費用(土地の場合で、契約条件による)
売却によって利益が出た場合は、譲渡所得税も課税されます。
物件の引き渡し条件によっては、家財道具の処分費用が必要になることもあります。
仲介手数料がかからないからといって、費用がゼロではない点に注意しましょう。
事前に必要な費用の見積もりを取り、売却後に手元に残る金額を正確に把握しておくことが大切です。
注意点5:買取不可の場合がある
すべての不動産が買取可能というわけではありません。
買取業者によって、買取対象となる物件の種類や条件が異なります。
マンション買取を得意とする業者に戸建てを依頼しても、期待した価格がつかなかったり、買取を断られたりする可能性があります。
以下のような不動産は、買取自体を断られるケースも珍しくありません。
- 再建築不可物件
- 違法建築物件
- 事故物件
- 極端に立地が悪い物件
ただし、訳あり物件専門の買取業者も存在するため、一般的な買取業者に断られても諦める必要はありません。
訳ありの条件をもとに買取業者をインターネットで検索すると、対応できそうな会社が見つかります。
自分の物件に合った買取業者を探すことが重要です。
査定依頼の際は、物件の状況を正直に伝え、買取可能かどうかを確認しましょう。
不動産買取で実際に起こりやすいトラブル

不動産買取では、以下のようなトラブルが実際に発生しています。
- 契約後に査定額を下げられた
- 手数料や追加費用を請求された
- クーリングオフが適用されなかった
事前に知っておくことで、トラブルを回避できます。
トラブル1:契約後に査定額を下げられた
査定時に提示された金額が、契約直前や契約後に減額されるケースです。
「詳しく調査したら雨漏りが見つかった」「シロアリ被害があった」など、後から問題点を指摘して買取価格を下げようとする悪質な業者も存在します。
最初に相場より高い査定額を提示して契約させ、後から減額する手口も見られます。
このトラブルを避けるには、以下のような対策が有効です。
- 査定時に物件をしっかり調査してもらう
- 複数社の査定を比較する
極端に高い査定額には警戒し、減額の可能性について事前に確認しましょう。
査定額の根拠を明確に説明してもらい、書面で確認することも大切です。
トラブル2:手数料や追加費用を請求された
契約書に明記されていない手数料や追加費用を、後から請求されるトラブルがあります。
たとえば、「測量費用」「解体費用」「残置物処分費用」などを売主負担と主張するケースです。
仲介業者が買取業者を紹介した場合に、事前説明なく仲介手数料を請求される「専任返し」という手法も存在します。
このトラブルを防ぐには、以下のような対策が必要です。
- 契約前に費用の内訳と負担者を明確にする
- 口頭での約束は必ず書面化してもらう
- 契約書の内容を隅々まで確認する
不明な費用項目があれば、契約前に必ず質問して明確にしておきましょう。
トラブル3:クーリングオフが適用されなかった
不動産買取では、クーリングオフは適用されません。
このことを知らず、「契約後でも8日以内なら解約できる」と思い込んでトラブルになるケースがあります。
クーリングオフは一般消費者を保護する制度で、消費者が「買主」の場合に適用されます。(※1)
不動産買取では不動産会社が買主で、一般の方が売主となるため、クーリングオフの対象外です。
一度契約を結ぶと原則として解約できず、解約する場合は違約金が発生する可能性が高くなります。
契約前に不明点や納得できない点があれば、すべて解決してから契約書に署名・押印することが大切です。
(※1)出典:宅地建物取引業法「第三十七条の二」
信頼できる不動産買取業者の選び方

信頼できる買取業者を選ぶには、以下のポイントを押さえることが重要です。
- 複数の不動産買取業者に査定を依頼して比較する
- 不動産買取業者の得意分野と実績を確認する
- 担当者の対応も判断材料にする
それぞれ詳しく解説します。
複数の不動産買取業者に査定を依頼して比較する
信頼できる買取業者を見つけるには、3社から5社程度の複数社から査定を取ることが重要です。
1社だけの査定では、その金額が適正かどうか判断できないからです。
複数社の査定を比較することで、相場感を把握でき、極端に安い、または高すぎる査定を見極めやすくなります。
高すぎる査定は後から減額される可能性があり、安すぎる査定では損をする恐れがあります。
そのため、査定時には金額だけでなく、その根拠も確認することが大切です。
査定書は書面で受け取り、後から見返せるようにしておきましょう。
不動産買取業者の得意分野と実績を確認する
不動産買取業者といっても、以下のように、会社によって得意とする物件の種類や対応エリアが異なります。
- マンション買取が得意な業者
- 戸建てや土地が得意な業者
- 訳あり物件専門の業者
自身の物件に合った実績のある業者を選ぶことで、適正価格での買取が期待できます。
不動産買取業者を選ぶ際には、以下のようなポイントを確認しましょう。
- 買取実績件数
- 取扱物件の種類
- 対応エリア
- 会社の営業年数や規模
宅地建物取引業の免許番号、業界団体への加盟状況もチェックしておくと安心です。
会社のホームページや口コミサイトで実績を確認することも有効な方法です。
過去の取引事例や顧客の声を参考にして、信頼性を判断しましょう。
担当者の対応も判断材料にする
買取業者の信頼性を判断するうえで、担当者の対応も重要な要素です。
- 質問に対して丁寧に説明してくれるか
- メリットだけでなくデメリットも正直に伝えてくれるか
- 契約を急がせないか
などを確認しましょう。
信頼できる担当者は、査定の根拠を明確に説明でき、売主の状況や希望をしっかり聞いたうえで最適な提案をしてくれます。
極端に高い査定額で誘ったり「今日決めないと」と契約を急がせたり、質問に曖昧な回答しかしない担当者は要注意です。
複数の業者と面談することで、対応の違いが見えてきます。
最終的に契約する業者は、価格だけでなく担当者との相性や信頼感も含めて総合的に判断しましょう。
不動産買取の注意点を踏まえた判断ポイント

不動産買取を選ぶべきかどうかを判断するには、以下のポイントを検討する必要があります。
- 価格とスピードの優先順位
- 物件条件と売却期限
それぞれ詳しく解説します。
価格とスピードの優先順位
不動産買取は、仲介と比べて売却価格が低くなる傾向があります。
そのため、少しでも高く売りたい場合には不向きですが、短期間で確実に現金化したい場合には有効な方法です。
「いつまでに売却しなければならない」という期限が明確な場合は、価格が下がる点を理解したうえでも、買取を選ぶ合理性があります。
多少価格が下がってもスピードや確実性を重視できるかどうかが、買取を選択するかどうかの大きな判断基準となります。
相続税の納付期限が迫っている、転勤が決まっている、住宅ローンの返済が厳しいなど、スピードを重視する事情がある場合は、買取が適しているでしょう。
一方で、時間的余裕があり、少しでも高く売りたい場合は、仲介での売却を検討する価値があります。
物件条件と売却期限の整理
立地や築年数などの条件が良い物件は、仲介でも買い手が見つかりやすいため、売却を急いでいないのであれば仲介を検討する余地があります。
一方、再建築不可物件や老朽化が進んだ物件など、市場での評価が分かれやすい物件は、買取を選んだほうがスムーズに売却できるケースも少なくありません。
判断に迷う場合は、まず仲介で売却活動を行い、一定期間内に売れなければ買取に切り替えられる買取保証付きの仲介を活用するのも現実的な選択肢です。
自分の物件の特性と売却のタイミングを整理し、最も適した方法を選びましょう。
不動産会社に相談して、複数のシミュレーションを出してもらうことも有効です。
まとめ
不動産買取には、
- 市場価格より低くなる(70~80%が目安)
- 住宅ローンの完済が必要
- 諸費用が発生する
など注意点があります。
トラブルを避けるには、複数社の査定を比較し、契約内容を十分に確認することが重要です。
信頼できる業者を選び、自分の状況に合った売却方法を慎重に判断しましょう。
https://iimon.co.jp/column/where-to-sell-real-estate

iimon 編集部












