「社宅代行サービスではどのような業務を依頼できるのだろうか?」
「おすすめの社宅代行サービスが知りたい」
自社業務の見直しや営業活動の強化から、このように社宅代行を検討し、悩む不動産会社も多いのではないでしょうか。
社宅代行サービスには、借上社宅の新規契約・更新・解約など、自社内で行っている社宅管理業務を全般的に依頼できます。
これらの業務を代行してもらうことで、別業務や教育に時間を割くことも可能でしょう。
そこで本記事では、
- 社宅代行サービスに依頼できる業務
- 社宅代行サービスの4つのタイプ
- 注目の社宅代行サービス
などを詳しく解説します。
記事後半では、日々の業務効率化を実現できる不動産ツールも紹介しているので、ぜひ最後まで読み進めてみてください。
目次
社宅代行サービスに依頼できる業務
社宅代行サービスは、企業の社宅管理に関わる煩雑な業務を専門的に請け負うサービスです。
代行会社によって提供されるサービス内容は異なりますが、基本的には物件の選定から契約、入居中の管理、そして解約手続きに至るまで、幅広い業務を委託できます。
とくに、不動産の専門知識が求められる賃貸借契約書の精査や退去時に発生する原状回復費用の交渉などは、専門知識のない企業の担当者では対応が難しいケースも少なくありません。
社宅代行サービスを利用することで、これらの専門的な業務も一括して任せられ、コンプライアンスの遵守とリスクの軽減につながります。
企業はコア業務に集中できるだけでなく、担当者の業務負担を大幅に削減し、コストの適正化も図ることが可能です。
具体的な業務内容は以下の表にまとめましたので、参考にしてみてください。
業務内容 | 詳細 |
物件の選定・提案 | ・企業の社宅規定や予算に合った賃貸物件を、提携している不動産業者から厳選して提案 ・内覧の手配やスケジュール調整の実施 |
契約手続き・申込み | ・物件申込み/重要事項説明の立ち会い/賃貸借契約締結/鍵の受け渡しまで、企業に代わって一連の手続きをサポート |
費用立替・各種手配 | ・賃料、敷金礼金、仲介手数料などの初期コストを代行会社が一時立替 ・月次でまとめて請求することで、企業の経理処理の簡素化を実現 |
家賃支払い・更新業務 | ・毎月の賃料振込や契約期間満了時の更新手続きを継続的に代行 ・退去時は原状回復費用の算出や費用交渉を通じて、適正な精算額の確保をサポート |
解約手続き・費用精算 | ・退去予告から立ち会い検査、敷金返還まで解約に伴う諸手続きを一括管理 |
各種書類作成 | ・給与所得の源泉徴収票等の法定調書や社宅関連の会計帳票を専門スタッフが作成 ・税務申告に必要な支払調書等も正確性を重視した書類として提供 |
社宅代行サービスの4つのタイプ
社宅代行サービスは、その契約形態やサービス内容によって、主に以下の4つのタイプに分類されます。
- 事務代行方式
- 転貸方式
- ハイブリッド型
- 管理システム
それぞれの特徴を理解し、企業の規模やニーズに合ったタイプを選ぶことが重要です。
事務代行方式
事務代行方式は、契約手続きや賃料支払いといった事務的な業務に特化したサービスです。
この方式では、物件の賃貸借契約の当事者(借主)は企業側であり、社宅代行会社は煩雑な手続きのみを外部委託として請け負います。
具体的には、以下のような定型的な業務を効率化するのに役立ちます。
- 契約書の作成・確認
- 家賃の支払い代行
- 更新手続き など
契約の主体は企業自身であるため、管理の自由度をたもちながら、業務負担を部分的に軽減したい場合に適していると言えるでしょう。
社宅の規模が比較的小さく、限定的なアウトソーシングを希望する企業にとって適したサービス形態です。
転貸方式
転貸方式では、社宅代行会社が自ら借主として物件オーナーと賃貸借契約を結び、その物件を企業へ転貸(又貸し)します。
この形態により、物件の選定から契約、入居中の管理、解約まで、社宅に関する包括的な業務を代行することが可能になります。
企業側のメリットは、個々の物件オーナーと直接契約を結ぶ必要がなく、社宅代行会社との契約一本にまとめられる点です。
全国に支社を持つ大企業や上場企業など、コンプライアンスやリスク管理を重視する企業に適したサービス形態です。
ハイブリッド型
ハイブリッド型は、前述の「事務代行方式」と「転貸方式」の両方に対応し、企業の多様なニーズに応じて柔軟にサービスを設計できるタイプです。
たとえば、本社周辺の社宅は事務代行方式で、地方の支社では物件探しの手間も省ける転貸方式で、といったように、物件ごとや事業所ごとに適した契約形態を選択できます。
また、まずは一部の業務からアウトソーシングを始め、将来的に全面委託へ移行するといった段階的な導入も可能です。
サービス設計により高い費用対効果を期待できる一方、複数の契約形態が混在するため、料金体系が複雑になる場合があります。
企業の成長段階や事業内容の変化に柔軟に対応できるため、多様な勤務地を持つ企業や、将来的な事業拡大を見据える企業に適した形態です。
管理システム
管理システム型は、社宅管理業務そのものをアウトソーシングするのではなく、業務をデジタル化・自動化するためのシステムを提供するタイプです。
クラウドベースの管理画面を通じて、契約情報や支払い状況、入居者情報などを一元管理し、書類作成や申請手続きの自動化によって業務効率の向上を実現できます。
システムの提供に加えて、必要に応じて一部の事務作業をアウトソーシングするオプションも組み合わせられるサービスも多いです。
初期導入コストが比較的低く、自社での管理体制を維持しながら効率化を図りたい企業に適しています。
DX(デジタルトランスフォーメーション)を推進し、データに基づいた効率的な社宅管理を目指す中小企業から大企業まで、幅広く活用できるソリューションと言えるでしょう。
不動産会社が注目すべき社宅代行サービス9選
ここからは、不動産会社がとくに注目すべき社宅代行サービスを9社厳選して紹介します。
各社が持つ特徴や強みを比較し、自社のビジネスモデルや顧客提案の参考にしてください。
社宅代行 | 主な特徴・強み | 対応エリア |
業界パイオニア、包括的サービス | 全国 | |
コスト削減、外国籍社員サポート | 全国 | |
地域密着、オンライン対応 | 福岡県中心 | |
地域密着、転勤手続き効率化特化 | 東北エリア中心 (仙台拠点) | |
地域密着、オンライン対応 | 神奈川県湘南エリア中心 | |
家具家電付き物件特化、外国籍社員サポート | 全国 | |
首都圏特化、スピード対応 | 首都圏中心 | |
支払一括化、物件探しから管理まで一元化 | 全国 | |
借主側エージェント、御用聞きコンシェルジュ | 全国 |
株式会社タイセイ・ハウジー

画像出典:株式会社タイセイ・ハウジー
株式会社タイセイ・ハウジーは、1995年に日本で初めて社宅管理業務代行サービス「ANSWER」を開始した、業界のパイオニアです。
長年の実績とノウハウをもとに、全国41の事業所と2,200社以上の優良賃貸不動産会社とのネットワークを活かし、包括的なサービスを提供しています。
同社の強みは、企業ごとに編成される専用の管理チームです。
専用の管理チームを組み、解約・支払・更新といった各種業務の窓口を一本化することで、迅速かつ効率的な対応を実現します。
社宅管理業務の90%以上を代行可能としており、入出金の一本化と業務の一元化により、企業の管理コストを大幅に削減します。
また、専門スタッフが退去時の原状回復費用を精査し、適正な価格に抑えるなど、トータルでのコスト削減に貢献できる点が大きな特徴です。
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株式会社S-FIT

画像出典:株式会社S-FIT
株式会社S-FITは、東京を拠点に年間17,000件以上の取引実績を誇る不動産会社です。
「ヘヤギメ!法人営業部」という専門部署を設け、高品質な社宅代行サービスを展開しており、2024年時点での提携企業数は1,900社以上にのぼります。
とくに強みとしているのが、バイリンガルスタッフによる外国籍社員への手厚いサポートです。
物件探しはもちろん、入国手続きや銀行口座の開設、ライフラインの契約代行まで、入居に関わる包括的なサポートを提供し、グローバル展開する企業の多様なニーズに柔軟に対応します。
また、社宅探しに特化した教育を受けた専門スタッフが、企業ごとの細かい社宅規定や契約書の条文まで深く理解し、的確でわかりやすい提案を行う点も高く評価されています。
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株式会社三好不動産

画像出典:株式会社三好不動産
株式会社三好不動産は、福岡県を中心に70年以上の歴史を誇る地域密着型の老舗不動産会社です。
これまでに6,000社以上の企業との取引実績で培った豊富なノウハウを活かし、法人専用部署「社宅営業部」を通じて、各企業の借上社宅規定に沿った的確かつ迅速な物件紹介を行っています。
2024年9月末時点で約45,000戸以上という福岡トップクラスの自社管理物件数を誇り、他社管理物件の紹介や条件交渉にも柔軟に対応可能です。
シングル、ファミリー、単身赴任、新卒採用といった多様なニーズに最適化された物件提案力と、1部屋の紹介から大規模な一括借上げまで対応できる幅広いサービス展開が大きな特徴です。
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株式会社山一地所

画像出典:株式会社山一地所
株式会社山一地所は、仙台市に拠点を置き、東北エリアにおける法人社宅サービスに特化した地域密着型の不動産会社です。
とくに転勤に伴う煩雑な事務作業の効率化に注力しており、人事・総務担当者の業務負担を大幅に軽減する包括的なサービス体制を構築しています。
企業のニーズや規模に応じて、社宅代行会社が契約手続きを行う方式と、企業が不動産会社と直接契約する方式の2つのオプションから選択できる柔軟性が魅力です。
法人契約のメリットを最大化するサービス設計も特徴で、個人契約に比べて入居審査が通りやすい、必要書類が簡素化される、社員の初期費用負担が軽減されるといった利点を同時に実現します。
賃貸借契約の申込から入居日の鍵の引き渡しまでを一貫してサポートし、急な転勤でも円滑な手続きを可能にしています。
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株式会社ユーミーネット

画像出典:株式会社ユーミーネット
株式会社ユーミーネットは、神奈川県の湘南エリアを中心に約50年の実績を持つユーミーらいふグループの中核企業として、1997年に創業しました。
地域に密着した賃貸仲介・管理事業を基盤に、質の高い社宅代行サービスを展開しています。
法人契約専門部署「法人営業部」を設置し、急な異動や不慣れな土地への引越しといった法人契約特有の事情を踏まえ、個人契約とは異なる手厚い事前サポートを重視しています。
約21,000戸という豊富な自社管理物件に加え、年間1,400組にのぼる社宅斡旋依頼で培ったノウハウを活かし、多様な企業ニーズに対応しているのも特徴の一つです。
限られた時間のなかでも、じっくりと打ち合わせを重ね、従業員一人ひとりが安心して新生活をスタートできるよう、きめ細かなサービスを提供している点が特徴です。
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株式会社JPMCエージェンシー

画像出典:株式会社JPMCエージェンシー
株式会社JPMCエージェンシーは、企業の社宅・寮に関するあらゆる課題解決を目指す専門企業として、全国47都道府県すべてに対応したサービスを展開しています。
同社の最大の特徴は、全国150万室を超えるパートナー物件のなかから「家具家電付き」の社宅を提供することに特化している点です。
これにより、急な転勤や新入社員の受け入れ、建設現場の宿舎など、さまざまなシチュエーションで発生する初期費用や引越しの手間を大幅に削減できます。
「Biz On Demand(ビズオンデマンド)」という法人社宅サービスブランドを通じて、企業と従業員の双方にとって利便性の高い住環境を提供し続けています。
全国規模での均一なサービス提供力と、特定のニーズに特化した専門性が同社の強みです。
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株式会社FPR

画像出典:株式会社FPR
株式会社FPRは、首都圏(東京、神奈川、埼玉、千葉)に特化した法人専門の不動産会社です。
渋谷、浜松町、さいたま大宮、横浜の4拠点を中心に、提携企業の従業員の部屋探しを全面的にサポートしています。
首都圏の物件は非常に流動性が高いことを踏まえ、「18時までの依頼には1時間以内に対応する」という圧倒的なスピード感を強みとしています。
入社や転勤だけでなく、結婚や出産といったライフイベントに伴う引越しにも対応し、家具・家電付き物件やマンスリーマンションの案内も可能です。
また、英語対応可能なスタッフが在籍しており、外国籍の従業員に対してもスムーズな物件探しと契約手続きをサポートできます。
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株式会社RPG

画像出典:株式会社RPG
株式会社RPGは、企業の社宅業務を円滑にし、担当者の負担を抜本的に軽減する社宅代行サービスを提供しています。
社宅制度の導入コンサルティングから実際の運営まで、一貫したサポート体制が魅力です。
同社の強みは、社宅業務に精通した専門スタッフによるきめ細かな対応力にあります。
不動産業者との折衝や女性社員・新卒社員が安心して相談できる窓口の設置など、企業の担当者だけでは手の届きにくい課題を解決可能です。
また、契約金から初期費用、退去時費用まで必要な支払いを全額立て替える「支払業務代行」により、企業側は月々の一括精算のみで済むため、経理の事務負担を大幅に軽減できます。
専門知識を活かして契約内容を1部屋ごとに精査し、企業のリスクを未然に防ぐ徹底した管理体制も高く評価されています。
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アパルトマンエージェント株式会社

画像出典:アパルトマンエージェント株式会社
アパルトマンエージェント株式会社は、「借主側のエージェント」として法人専門の賃貸仲介サービスを提供することを目的に設立された企業です。
これまでに2,000社以上の企業の社宅探しをサポートし、2022年度には6,500件を超える法人社宅の成約実績を誇ります。
「新しい生活のスタートをサポートする御用聞きコンシェルジュ」であることを使命とし、企業の福利厚生担当者の業務負担軽減はもちろん、その先にいる従業員の生活満足度向上を最優先に考えています。
社宅制度の導入から物件検索、契約、管理、解約精算まで、社宅に関するあらゆる悩みを解決する包括的なサービスが特徴です。
大阪、東京、名古屋、兵庫の4拠点を中心に全国対応可能なネットワークを持ち、法人仲介で培った高い専門性と交渉力で、企業と従業員の双方にメリットのある社宅ソリューションを提供しています。
アパルトマンエージェント株式会社の社宅代行サービスはこちら
社宅代行以外の業務効率化として(株)iimonの「速いもんシリーズ」がおすすめ!

社宅代行サービスが企業の総務・人事部門の業務を効率化する一方で、不動産会社自身の業務効率化も重要な経営課題です。
そこでおすすめしたいのが、(株)iimonが提供する不動産業務の効率化ツール「速いもんシリーズ」です。
本ツールは、物件確認や内見予約といった日常業務を自動化・効率化できるツールで、不動産仲介・管理業務の生産性向上に役立ててもらえます。
具体的なサービスは、以下の10種類を用意しています。
サービス名 | 特徴 |
不動産ポータルサイトへの入力作業を効率化 | |
賃貸物件の新着・更新情報の洗い出しを効率化 | |
ライバル会社の掲載状況を自動分析 | |
物件情報を1クリックでPDF・URL化 | |
賃貸物件情報の元付会社を簡単に特定 | |
賃貸物件の募集状況をまとめて確認 | |
1サイトで複数サイトの物件検索が可能 | |
見積書をワンクリックで瞬時に作成 | |
入力間違い╱他社募集╱条件判定を1クリックで判定 | |
一般媒介物件を自動で抽出しリストを瞬時に作成 |
とくに「物確速いもん」は、賃貸物件の空室状況や条件変更を一括で確認できる不動産業界向けのツールです。
従来の各サイトでの目視確認や管理会社への電話確認を不要にし、最新の物件情報を一画面でまとめて把握することで、物件確認業務を大幅に効率化するサービスです。
【導入事例】現場の作業効率や接客の質が向上し、来店率や成約率が改善
株式会社三好不動産は、福岡県を中心に事業を展開する地域密着型の不動産会社で、独自のDX戦略により事業拡大を図っています。
同社では数年前から自社システム開発を検討していましたが、開発コストと時間の問題で断念し、物件出しと空室確認業務で以下の課題を抱えていました。
- 物件登録作業の重複確認による時間のロス
- 営業スタッフが新着物件を把握できずお客様への提案が的確でない状況
- 募集終了タイミングの把握遅れによる成約機会の損失
しかし「物出速いもん」「物確速いもん」導入後は、以下のような顕著な効果が現れています。
- 新規物件掲載効率が倍増:1時間あたり10件から20件以上に向上
- 物件出し作業を各店舗で適時実施可能になり、新着・条件変更物件を営業スタッフがリアルタイムで把握
- 15分程度の隙間時間でも効率的な物件出し作業が可能
- 空室確認頻度が月3回から週4回に増加し、タイムラグが格段に減少
- 最新情報に基づくお客様提案により来店率・成約率が改善
- 追客時の新着物件検索・資料送付がスムーズになり、顧客信頼度が向上
とくに現場スタッフが日々の新着物件をリアルタイムで確認できるようになったことで、お客様への提案精度が大幅に向上し、「福岡で一番不動産に詳しく、正しい情報を掲載している会社」という目標達成に向けた基盤が構築されています。
まとめ
本記事では、不動産会社の視点から社宅代行サービスの市場動向、サービスの種類、そして注目すべき主要企業9選を解説しました。
社宅代行は、企業の業務効率化とコスト削減に貢献するだけでなく、従業員満足度を向上させる重要な福利厚生サービスです。
市場は、全国対応のパイオニアから地域密着型、特定ニーズ特化型まで多様化しており、不動産会社にとっては大きなビジネスチャンスが広がっています。
自社の強みを活かせるサービスモデルを検討することが、参入成功の鍵となるでしょう。
また、社宅代行サービスの提供価値を高めるためには、自社の業務効率化も不可欠です。
(株)iimonが提供する「速いもんシリーズ」のような不動産テックを積極的に活用し、より質の高いサービスを顧客に提供できる体制を構築することが、これからの不動産会社に求められる戦略と言えるでしょう。

iimon 編集部