不動産業では、前受金などがあり会計が複雑になるため、基本的には会計ソフトの導入がおすすめです。
適切な会計ソフトを選ぶことで、経理業務の効率化はもちろん、リアルタイムでの経営状況把握や正確な税務申告が可能になります。
そこで本記事では、不動産業で会計ソフトを活用するメリットから、業界特有の機能を踏まえた選び方まで、導入検討に必要な情報を詳しく解説します。
経理業務の改善や事業成長を目指す不動産会社の方は、ぜひ参考にしてください。
会計以外の部分で業務効率につながるツール(株)iimonの「速いもん」も紹介するので、ぜひ最後まで読み進めてみてください。
目次
不動産業で会計ソフトを活用する3つのメリット

不動産業で会計ソフトを導入する主なメリットは、以下のとおりです。
- 業務効率化と時間短縮になる
- 正確性が向上する
- 経営判断のサポートになる
これらのメリットを理解することで、会計ソフト導入の必要性がより明確になるでしょう。
業務効率化と時間短縮になる
不動産業では物件の売買契約や賃貸管理に伴って、一般的な業種では見られない複雑な会計処理が日常的に発生します。
たとえば、以下のように多岐にわたる取引を正確に記録する必要があります。
- 売買における手付金や中間金の管理
- 賃貸における敷金礼金の預かり金処理
- 毎月の家賃収入計上 など
従来の手作業による帳簿管理では、これらの仕訳入力や月次集計作業に膨大な時間を要するだけでなく、不動産業特有の会計知識も必要となるため、経理担当者にとって大きな負担となっていました。
とくに複数の物件を管理している場合、物件ごとの収支管理や減価償却費の計算など、専門性の高い処理が求められます。
しかし、会計ソフトを導入することで、これらの作業時間を劇的に短縮することが可能になります。
正確性が向上する
手作業による会計処理では、どうしても計算ミスや転記ミスといったヒューマンエラーが発生しやすく、これらの小さなミスが積み重なって決算書や税務申告に深刻な影響を与える可能性があります。
とくに不動産業では金額が大きな取引が多いため、わずかなミスでも重大な問題に発展する恐れがあります。
会計ソフトを使用することで、自動計算機能により人的ミスを大幅に削減することが可能です。
また、消費税の計算や源泉徴収税の処理なども自動化されるため、税務上のミスを防ぐことにもつながります。
経営判断のサポートになる
現代の会計ソフトは単なる記帳ツールの域を超えて、経営判断を支援する重要な情報システムとしての役割を担っています。
リアルタイムでの財務状況把握により、資金繰りの予測や新規投資判断をより正確かつタイムリーに行えます。
とくに不動産業においては、物件別の収支管理機能を活用することで、保有している各物件の収益性を詳細に分析することが可能です。
どの物件が高い収益を上げており、どの物件に改善の余地があるかを一目で把握できるため、今後の物件取得戦略や既存物件の活用方針を決定する際の重要な判断材料となります。
不動産業で会計ソフトを導入する際の選び方

不動産業で会計ソフトを選択する際は、以下の基準をもとに検討しましょう。
- 顧問税理士の使用している会計ソフトと同じものか
- 使いやすさとサポート体制が整っているか
- 価格とコストパフォーマンスのバランスが良いか
これらの要素を総合的に評価することで、自社に最適な会計ソフトを見つけられます。
それぞれ詳しく解説します。
顧問税理士の使用している会計ソフトと同じものか
会計ソフトを選択する際に重要なのが、すでに契約している顧問税理士が使用している会計ソフトとの整合性です。
税理士と同じソフトウェアを使用することで、データの受け渡しが格段にスムーズになり、月次監査や年次決算、税務申告業務を効率的に進められます。
税理士と同じソフトを使用していれば、月次の試算表作成や年次決算の際に、データの変換作業や確認作業が不要となり、時間とコストの大幅な削減が実現できます。
また、データの整合性も保たれるため、税務申告時のミスやトラブルを防ぐことが可能です。
さらに、税理士からの会計処理に関するアドバイスや指導も受けやすくなり、会計業務の質向上にも大きく貢献します。
使いやすさとサポート体制が整っているか
会計ソフトの導入効果を最大化するためには、操作のわかりやすさと充実したサポート体制が不可欠です。
どれほど高機能なソフトであっても、操作が複雑で使いづらければ、かえって業務効率が低下してしまう可能性があります。
直感的な操作が可能なユーザーインターフェースを持つソフトを選ぶことで、経理担当者の学習コストを最小限に抑え、スムーズな業務移行を実現できます。
サポート体制については、電話やメール、チャットなど複数の問い合わせ方法が用意されているか、そして不動産業界の特殊な会計処理に詳しいサポート担当者がいるかを事前に確認することが重要です。
導入初期はもちろん、継続的な利用においても適切なサポートを受けられる体制が整っているソフトを選択しましょう。
価格とコストパフォーマンスのバランスが良いか
会計ソフトの選択においては、初期導入費用と継続的なランニングコストのバランスを慎重に検討する必要があります。
価格の安さだけを重視して選択すると、必要な機能が不足していたり、サポート体制が不十分だったりして、結果的に業務効率が改善されずコストパフォーマンスが悪くなる可能性があります。
逆に、高機能で高価格のソフトを選んでも、自社の業務規模や処理量に見合わない過剰な機能が多すぎると、無駄な投資となってしまうのです。
また、導入後のランニングコストも重要な検討要素といえます。
月額利用料だけでなく、追加ユーザーの費用やデータ容量の追加費用、電話サポートの費用、バージョンアップ費用なども含めて総合的に判断する必要があります。
長期的な視点でのコスト計算を行い、真のコストパフォーマンスを見極めることが大切です。
不動産業でおすすめの会計ソフト5選

不動産業でおすすめの会計ソフトは、以下の5つです。
- ジョブカン会計
- MJSLINK DX 財務大将
- freeeクラウド会計ソフト
- Money Forward クラウド
- OBIC7クラウドソリューション
それぞれの特徴と、使いやすさ・サポート体制・価格の比較表も含めて詳しく解説していきます。
ジョブカン会計

出典:ジョブカン会計
項目 | 特徴 |
使いやすさ | ・直感的な操作画面で初心者でも使いやすい ・最新版プログラムや法改正にも即対応しており、新しいソフトを買い替える必要がない |
サポート体制 | ・電話/メール/チャットによるあんしんサポートあり ・操作マニュアル完備 |
価格 | 月額2,500円〜(ユーザー数により変動) |
(2025年6月時点の情報を参考)
ジョブカン会計は、個人事業主と法人、会計事務所と幅広い用途で利用できるクラウド型の会計ソフトで、操作の簡単さと手頃な価格設定が魅力的です。
金融機関との連携機能により、取引データの取り込みが可能で、日々の経理業務を効率化できます。
また、部門登録機能も搭載されており、組織に応じた管理が行え、豊富な集計機能や決算書作成機能により、決算業務をスムーズに進められます。
出典:ジョブカン会計
MJSLINK DX 財務大将

項目 | 特徴 |
使いやすさ | 実物の伝票をイメージした画面で、直感的な操作が可能 |
サポート体制 | 地域密着型サービスや訪問設定サービス、運用支援サイト完備による安心のサポートサービスを提供 |
価格 | 詳細は要問い合わせ(機能・ユーザー数により変動) |
(2025年6月時点の情報を参考)
MJSLINK DX 財務大将は、株式会社ミロク情報サービスが提供する制度会計・管理会計システムで、とくに中堅企業・中規模・中小企業に適した本格的な財務会計ソリューションです。
長年にわたって会計業務のノウハウを蓄積してきた同社の経験が活かされており、さまざまな業種の複雑な会計処理にも柔軟に対応できる設計となっています。
管理会計の強化による経費節減を重視した設計となっており、プロジェクト別の原価管理機能では、建設工事業などの個別管理を必要とする業種のタイムリーな原価管理に対応しています。
実行予算管理による進捗度合いに応じた実績比較データの自動作成も可能です。
また、従業員一人当たりの売上高や一日当たりの平均売上データなどの非会計情報も自動計算し、経営の実態を財務システム上で把握できます。
freee会計

出典:freee会計
項目 | 特徴 |
使いやすさ | 会計業務を誰でも流れるように効率化できる設計 |
サポート体制 | ・専任担当によるサポート ・サポートデスク ・ヘルプセンター ・ユーザーガイド |
価格 | 月額2,980円〜(プラン・ユーザー数により変動) |
(2025年6月時点の情報を参考)
freee会計は、クラウド会計ソフト市場シェアNo.1(56.3%)を誇っており、個人事業主から上場企業までさまざまな事業規模の経理業務効率化を支援するソリューションです。
1人から300人以上まであらゆる企業の会計を効率よく行えて、54万事業所という圧倒的な導入実績を持っています。
1,043社の金融機関(120の銀行・923のその他金融機関)との連携により、あらゆる金融機関の取引を自動登録できます。
請求・支払業務から会計帳簿・決算書の作成、経営管理まで、業務が一つにつながり、経理をスムーズに効率化することが可能です。
金融機関レベルのセキュリティを実現しており、リスクベース認証を採用したなりすまし防止機能や約1か月前まで1日単位でリストア可能なバックアップ体制、暗号化通信や多層防御などの堅牢なセキュリティ機能を備えています。
Money Forward クラウド会計

項目 | 特徴 |
使いやすさ | 従来型の操作感とクラウドの利便性を兼ね備えたバランスの良いシステム |
サポート体制 | ・サポートサイト ・チャット |
価格 | 月額2,480円〜(プラン・ユーザー数により変動) |
(2025年6月時点の情報を参考)
マネーフォワード クラウド会計は、家計簿アプリで培った使いやすさのノウハウを法人向け会計ソフトにも活かした、バランスの取れたクラウドソリューションです。
個人事業主から上場企業までさまざまな事業規模に対応しており、とくに中小企業にとって必要十分な機能を適正価格で利用できる魅力的な選択肢となっています。
自動連携できる金融機関数が2,300以上という点が大きな特徴で、インターネットバンキング・クレジットカード・電子マネー・ショッピングサイトなどと幅広く連携し、日々の取引明細データを自動で取得できます。
取引入力や仕訳入力、帳票作成など、今まで手入力で行っていた部分を自動化し、作業時間を大幅削減することが可能です。
会計業務をはじめ、経費精算や給与計算などバックオフィス業務を効率化できる12のサービスが揃っており、キャッシュフローレポートや収益レポート、費用レポートなど事業に役立つレポートもリアルタイムで確認できます。
また、税理士などとのデータ共有がしやすく、顧問税理士との情報共有もスムーズです。
OBIC7クラウドソリューション

項目 | 特徴 |
使いやすさ | 高機能な統合システムのため専門的な知識が必要 |
サポート体制 | 自社一貫体制による専門エンジニアのワンストップサポート |
価格 | 詳細は要問い合わせ(プライベートクラウドのため個別見積) |
(2025年6月時点の情報を参考)
OBIC7クラウドソリューションは、大手システム開発会社であるオービック社が提供する本格的な統合業務システムで、企業の情報システム構築に幅広い実績を持つ包括的なERPソリューションです。
OBIC7シリーズの豊富なラインナップすべてをクラウドで利用でき、ユーザーのビジネス環境の変化に柔軟に対応できる点が最大の特徴です。
個別のプライベート型クラウドでの提供により、ユーザー専用環境を構築するため、システムの柔軟性の確保に加え、セキュリティ面でも安心して利用できます。
自社のデータセンターで「幾重にも冗長化を施した多重化構成」「複数世代バックアップ」「厳重な入退室セキュリティ」など強固な運用管理を徹底し、データセンターファシリティ基準Tier4レベル相当をクリアしています。
コンサルティングからシステム企画、システム構築、サポートまでを自社一貫体制で提供するワンストップソリューションにより、OBIC専門エンジニアによる高品質のサービスを受けることが可能です。
不動産で会計以外の業務効率化なら(株)iimonの「速いもんシリーズ」がおすすめ!

不動産業では会計業務以外にも、物件の入力作業や募集状況の確認など、日常的にさまざまな業務をこなさなければなりません。
そのため、不動産の業務全体で効率化を考えることが重要です。
そこでおすすめしたいのが、(株)iimonが開発・提供している「速いもんシリーズ」です。
このシリーズは不動産業界の業務効率化に特化したツール群で、機能によって以下9種類に分けられます。
サービス名 | 特徴 |
不動産ポータルサイトへの入力作業を効率化 | |
賃貸物件の新着・更新情報の確認を効率化 | |
ライバル会社の掲載状況を自動分析 | |
物件情報を1クリックでPDF・URL化 | |
賃貸物件情報の元付会社を簡単に特定 | |
売買・賃貸物件の募集状況をまとめて確認・物件確認を効率化 | |
1サイトで複数サイトの物件検索が可能 | |
見積書をワンクリックで瞬時に作成 | |
入力間違い╱他社募集╱条件判定を1クリックで判定 |
9つのツールのなかから、自社の業務に合わせて必要な機能だけを組み合わせることも可能です。
「速いもんシリーズ」のなかでも「入力速いもん」は、不動産ポータルサイトへの物件情報の入力作業を効率化できるツールです。
通常1件あたり20分程度かかりますが、「入力速いもん」を使用すれば1件あたり5分程度で完結します。
以下の動画では、入力速いもんを詳しく紹介しているので、あわせてご覧ください。
【導入事例】反響数や売上が向上し人員不足の解消も実現!
静岡県藤枝市に拠点を構えるエイブルネットワーク藤枝店 株式会社SPRINGは、会社立ち上げ期の人員不足と非効率な物件管理業務という課題に直面していました。
物件入力作業はすべて手打ちで対応しており、人員が少ないなかで非常に時間がかかっていました。
さらに従来使用していた他社の物確・物出ツールは、PC一台を長時間占有してしまうため、クリーニング業務などの他の作業が滞る状況にあったそうです。
この問題を解決するため、スーモの担当者からの紹介をきっかけに、同社は「速いもん」シリーズ(入力速いもん・物出速いもん・物確速いもん)を導入。
その結果、以下の効果が得られました。
- 物件入力時間が従来の倍速になり、一人分の作業量を削減
- PCの拘束時間が解消され、クリーニング業務の効率が向上
- 新着物件をいち早く掲載できるようになり、反響数・売上が増加
- 依頼結果を待つ間も他の作業を継続でき、全体的な業務効率が改善
今後は地場の管理会社がデータを直接入力できる仕組みの構築を希望し、さらなる手入力作業からの解放と業務効率化を目指していると話してくれました。
まとめ
不動産業における会計ソフトの導入は、業務効率化や正確性向上、経営判断支援という3つの重要なメリットをもたらします。
選択の際は顧問税理士との連携性、使いやすさとサポート体制、コストパフォーマンスのバランスを総合的に検討することが重要です。
会計業務以外の効率化には、(株)iimonの「速いもんシリーズ」も非常に有効で、とくに物件情報入力の自動化により大幅な時間短縮を実現できます。
各企業の規模や業務内容、予算に応じて最適な会計ソフトを選択し、不動産業務全体の効率化と事業成長を実現していきましょう。

iimon 編集部