不動産の「物調」は、不動産の物件仕入れで欠かせない業務ですが、賃貸と売買では内容とやるべきことが異なります。
それぞれのやり方を正しく理解することで、売上拡大にもつながる可能性があるでしょう。
そこで本記事では、
- 売買と賃貸における「物調」の内容
- 売買と賃貸のそれぞれの物調のやり方
- 物調を効率化する方法
などを詳しく解説します。
あわせて業務効率化ツールの(株)iimonの「速いもん」も紹介するので、ぜひ最後まで読み進めてみてください。
目次
不動産の「物調」は売買と賃貸で意味が異なる

「物調」という言葉は不動産業界でよく使われますが、売買と賃貸では意味が異なります。
それぞれの意味を詳しく解説します。
売買における物調
売買における物調とは、不動産会社が物件を取引するにあたって、物件の概要について調べる作業のことです。
具体的には、法務局での登記簿調査や役場で行われる役所調査、物件の現地調査、さらには市場の動向についての調査など、多岐にわたる確認が必要です。
これらの調査によって、物件の権利関係や法的制限、物理的な状態などが明らかになります。
不動産会社は、これら複数の調査によって得られる情報をもとに、間違いのない公正な取引ができるようにします。
これにより、買主は安心して物件を購入でき、売主も適正な価格での販売が可能になるのです。
賃貸における物調
賃貸においての物調は「物件」を「調達」する作業のことを指し、具体的には2つの意味があります。
1つ目は、すでに存在を知っている賃貸物件の空き情報や成約情報をアップデートすることです。
賃貸市場は常に変動しており、空室状況や賃料などの情報を最新の状態に保つことが重要です。
これにより、お客様に正確な情報を提供できます。
2つ目は、自社がまだ知らない賃貸物件を新たに仕入れることです。
常に新しい物件情報を収集することで、より多くの選択肢をお客様に提供できます。
物調を適切に行わないと、新しい物件を仕入れる作業が停滞してしまい、商品が補充されなくなります。
その結果、顧客に提供できる物件が減少し、ビジネスチャンスを逃してしまう可能性があるのです。
売買における物調のやり方

売買における物調は、物件の安全性や法的な問題を確認するための重要なプロセスであり、正確な情報収集によって、トラブルを未然に防ぎ、適正な価格での取引を実現します。
売買における物調の具体的なステップは、以下のとおりです。
- 物件情報の確認
- 法務局調査
- 現地調査
- 役所調査
- 市場動向調査と価格査定
各ステップを詳しく解説します。
STEP1:物件情報の確認
物調の最初のステップは、以下のような物件の基本情報を確認することです。
- 面積・構造・築年数などの建物情報
- 固定資産税やローンの滞納の有無などの費用面の情報
- 売主が所有者や法定相続人であるかの権利情報
これらの情報は、次の法務局調査を行う前に、売主自身に確認する内容です。
売主も把握しきれていないケースもあるので、所有している資料などを見せてもらいましょう。
STEP2:法務局調査
法務局調査では、主に登記簿謄本(全部事項証明書)と公図、地積測量図を取得します。
これらの書類は物件の法的な状態を把握するために必要不可欠です。
たとえば、登記簿を確認することで、権利関係(所有権、抵当権等)や共有名義の有無を確認できます。
当然ながら、登記名義人と売主が異なれば売買はできません。
このような基本的なチェックを怠ると、大きなトラブルに発展する可能性があります。
STEP3:現地調査
現地調査では、建物の配置や境界、近隣の環境や道路状況などを実際に目で確認します。
書類上ではわからない物件の実態を把握するために欠かせない作業です。
具体的には、以下のような項目を調べます。
- 建物の状況
- 接道状況
- 隣地との境界
- ブロック塀の状態
- 公図とのズレの有無
- 学校やスーパーマーケットなどを含む周囲の施設
- 交通量や騒音の状況
- 事故や災害の有無
近隣住民に聞き込みすることで、周辺のトラブルの有無や災害履歴なども確認できます。
こうした生の情報は書類だけでは得られないものであり、物件の価値を正確に判断するためには非常に重要です。
STEP4:役所調査
役所調査では、建築確認が取れるか、再建築に必要な上下水道や接道の状況、埋蔵文化財の有無などを各部署で確認します。
たとえば、道路に関する情報は都市計画課や道路課などで確認可能です。
具体的な確認内容としては、以下のようなものがあります。
- 建築基準法や都市計画法による制限の有無
- その他法令による制限の有無
- 道路状況
- インフラ設備
これらの調査により、建物が法的に問題なく建てられているかどうかを把握できます。
役所調査は物件の法的な制約を把握するために必要不可欠な調査であり、将来的な建替えや増改築の可能性を判断するうえでも重要な情報となるのです。
STEP5:市場動向調査と価格査定
最後に、市場動向や取引事例の調査を行います。
適正な価格設定は、スムーズな売買取引を実現するために非常に重要です。
正しい金額を導き出すためには、周辺の類似物件の取引事例を参考にすることが効果的です。
レインズなどの不動産取引情報システムを活用して、過去の成約事例を調査します。
現状の売り出し物件の価格も参考にできますが、成約価格を把握できると、最終的にどれくらいの値段で物件が売れるのかについて精度の高い予測が立てられます。
賃貸における物調のやり方

賃貸業界における物調は、既存物件の情報更新と新規物件の仕入れという二つの側面があります。
これらの作業を適切に行うことで、常に最新で魅力的な物件を顧客に提供できます。
すでに知っている物件のアップデート
賃貸物件の情報をアップデートする際には、基本的に管理会社や大家さんに直接電話で確認するのが一般的です。
定期的に連絡を取ることで、空室状況や賃料の変更などの最新情報を入手できる可能性が高まります。
物件情報が更新されないと、賃貸物件を探している人に対して最新の情報を提供できません。
これは顧客サービスの質を低下させるだけでなく、ビジネスチャンスの損失にもつながります。
さらに重要なのは、古い情報のままで広告を出し続けると、見込み客を逃すだけではなく、おとり広告になり宅建業法違反になってしまうことです。(※1)
宅建業法では、取引の相手方の利益を害する行為として、実際には取引できない物件を広告することを禁止しています。
(※1)出典:全宅連「おとり広告の禁止に関する注意喚起等について」
新規物件の仕入れ
新規の賃貸物件を仕入れる際には、以下のような方法が効果的です。
- 物件のオーナーに定期的にヒアリングする
- 同業者からの情報を参考にする
- 周辺に建築中の建物があればチェックしておく
物件オーナーへの定期的なヒアリングは、新規物件情報を得る最も直接的な方法です。
良好な関係を築くことで、新たに賃貸に出す予定の物件情報をいち早く把握できます。
また、同業者からの情報やネットワークを活用することで、より多くの物件情報にアクセスできます。
さらに周辺地域を定期的に巡回し、建築中の建物をチェックすることも重要です。
新築物件は高い需要が見込まれるため、早期に情報を入手しておくことが競争優位につながります。
不動産の物調を効率化するポイント

不動産業務において物調は欠かせない作業ですが、効率的に行うことでより多くの時間を営業活動に充てられます。
売買と賃貸の両方にとって有効な効率化するポイントは、以下のとおりです。
- 物調のフローを構築する
- 業務効率化ツールを活用する
それぞれ詳しく解説します。
物調のフローを構築する
物調を効率化するためには、まず明確なフローを構築することが重要です。
売買の物調であれば、物件調査用の確認シートを作成し、チェック項目を明確にすることで抜け漏れを防げるでしょう。
各調査の回る順番も明確にしておくと、新人でも迷わずに作業を進められます。
賃貸においては、物調を毎日のルーティンに組み込むことで、物件のアップデートがしやすくなります。
業務効率化ツールを活用する
不動産業として売上を確保するには物調は欠かせない業務ですが、日々の営業に忙殺されて物件調査がきちんと行えていないと悩む方も少なくないでしょう。
物調が疎かになると、売買ではトラブルのもとになり、賃貸では掲載物件のアップデートができず見込み顧客を逃すことになります。
そのため、いかに効率よく物調を終わらせられるか、物調を行うための時間を確保できるかがポイントです。
そこでおすすめしたいのが、業務効率化ツールの活用です。
現在は多くの不動産業務効率化ツールが提供されており、物件情報の入力作業や競合他社が掲載している物件情報の確認などを効率的に行えます。
その結果、より多くの時間を営業活動や顧客対応に充てられて、売上拡大を実現可能です。
不動産の物調業務を効率化するなら(株)iimonの「速いもんシリーズ」がおすすめ!

不動産の物調業務を効率化するなら、(株)iimonが提供する「速いもんシリーズ」の活用がおすすめです。
本ツールは、不動産業の業務効率化を簡単・便利に推進してくれるツールで、機能によって以下9種類に分けられます。
サービス名 | 特徴 |
不動産ポータルサイトへの入力作業を効率化 | |
賃貸物件の新着・更新情報の確認を効率化 | |
ライバル会社の掲載状況を自動分析 | |
物件情報を1クリックでPDF・URL化 | |
賃貸物件情報の元付会社を簡単に特定 | |
売買・賃貸物件の募集状況をまとめて確認・物件確認を効率化 | |
1サイトで複数サイトの物件検索が可能 | |
見積書をワンクリックで瞬時に作成 | |
入力間違い╱他社募集╱条件判定を1クリックで判定 |
なかでも「物出速いもん」と「判定速いもん」は、賃貸における物調業務の効率化に非常に効果的です。
「物出速いもん」は、賃貸物件の新着・情報更新を効率的に洗い出せるため、競合他社よりもいち早く狙い目物件を見つけ出すことができます。
また「判定速いもん」を使えば、自社掲載物件の募集状況、条件変更、入力間違いをワンクリックで判定できるため、最新の情報にもとづいた物件管理が効率的に行えます。
ぜひこの機会に「物出速いもん」「判定速いもん」を活用して、賃貸における物調業務を効率化してみましょう。
【導入事例】新着出しが毎日可能に!昨対で反響数110%以上を達成
大阪府茨木市を中心に賃貸管理業を営む株式会社エストコーポレーションは、新着物件出しが週1回しかできず、取り扱いエリア拡大により新規物件登録に時間がかかるという課題に直面していました。
土日祝日はWebスタッフが休みで確認作業がおろそかになり、登録作業ができない状況が続いていたそうです。
この問題を解決するため、同社は「物出速いもん」と「入力速いもん」を導入。
その結果、以下の効果が得られました。
- 新着物件の確認が毎日可能になり業務のルーティン化を実現
- 条件変更物件の掲載により反響数が昨対で110〜130%に増加
- 1件あたりの作業時間短縮により登録数が従来の2倍に拡大
- 営業面での新着物件・条件変更物件の積極的な紹介が可能に
- 家賃変更により検索ニーズとのマッチング向上を達成
今後は新店舗開設に向けてシステム内データの充実と、さらなる反響数増加を目指したいと語ってくれました。
まとめ
不動産の「物調」は売買と賃貸で意味が異なります。
売買における物調は物件の概要について詳細に調べる作業のことで、以下の5つのステップで物件の安全性や法的な問題の有無を確認します。
- 物件情報の確認
- 法務局調査
- 現地調査
- 役所調査
- 市場動向調査と価格査定
一方、賃貸における物調は「物件の調達」を意味し、既存物件の空き情報や成約情報のアップデートと新規物件の仕入れという二つの側面があります。
物調を怠ると、売買では取引時のトラブルの原因となり、賃貸では掲載物件の情報が古くなりおとり広告として宅建業法違反になる可能性があるので注意が必要です。
そこで本記事でも紹介したように、不動産の業務効率化ツールである「速いもんシリーズ」を活用して、物調作業をスムーズに行える仕組みを整えることが大切です。
「物出速いもん」や「判定速いもん」は、賃貸における物調業務の効率化に効果的ですので、気になる方はお気軽にお問い合わせください。

iimon 編集部