【賃貸・売買別】不動産業界の人材不足の原因とは?効果的な対策も解説

更新日:2025.04.24

業務効率化

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「人材不足で悩んでいる不動産会社は自社だけなのか?」

「人手不足を解消する方法はないのだろうか…」

このように悩んでいる人も多いのではないでしょうか。

厚生労働省の調査によると、令和5年度において、不動産業界への入職者よりも離職者のほうが約11万人も多い結果になっています。(※1)

日本の少子高齢化や不動産業界が抱える問題を考慮すると、今後も人材不足は続くと考えられるでしょう。

そこでこの記事では、

  • 不動産業界の人材不足の現状
  • 不動産業界が人手不足に陥る原因
  • 不動産業における人材不足を解消する方法

などを解説します。

人材不足を解消する方法は、今日からでも取り入れられる内容ですので参考にしてみてください。

この記事を読むことで、不動産業界の人材不足の現状を把握でき、人手不足への効果的な対策を打てるようになるでしょう。

参考

(※1):厚生労働省「令和5年 雇用動向調査結果の概要」

不動産業界の人材不足の現状とは

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厚生労働省が発表している令和5年度の「産業、就業形態別入職者・離職者状況」を確認すると、不動産業は入職者数130.1万人に対して、離職者数が141.1万人であることがわかります。(※2)

つまり、離職者のほうが11万人ほど多いのです。

また、同データによると、不動産業の入職超過率は全業種中でワースト3位の「-1.3」という数値です。(※3)

売り手市場が続く日本において、不動産業界は人材の採用と確保が困難な状況にあると考えられます。

また、不動産業界では、就業者の高齢化も問題視されています。

国土交通省の「不動産業ビジョン2030」によると、就業者の平均年齢は61.7歳であり全体平均よりも2歳ほど高い傾向にあるのです。(※4)

業界の高齢化が進むと、今後はますます離職者が増えていくと予想されます。

参考

(※2、3)厚生労働省「令和5年 雇用動向調査結果の概要」産業、就業形態別入職者・離職者状況

(※4):国土交通省「不動産業ビジョン2030 参考資料集」

【賃貸仲介業編】不動産業で人手不足に陥る3つの原因

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賃貸仲介業において、人手不足に陥る原因はおもに3つあります。

  • 繁忙期が集中している
  • 給与水準が低い
  • 売買仲介業に比べてダイナミックな仕事がない

順番に見ていきましょう。

原因1:繁忙期が集中している

賃貸仲介業界は、1〜3月の引越しシーズンに業務が集中する傾向があります(※5)。

1〜3月は契約件数が急増し、少ないスタッフで対応しきれない状況に陥っているのです。

一方、多くの不動産会社は繁忙期のために人材を採用しますが、4月以降は業務量が減少するため人材過多になるというジレンマを抱えています。

とくに地方の不動産会社では若年層の確保がむずかしく、体力仕事の側面がある賃貸仲介業務と求職者の希望とのミスマッチが発生しているのが実態です(※6)。

この繁忙期と閑散期の波が大きい賃貸仲介業界は、安定した雇用をむずかしくしている要因といえるでしょう。

(※5)出典:UR賃貸住宅|URくらしのカレッジ「賃貸物件探しにおすすめの時期は?住まいを決めるポイントと注意点」

(※6)出典:全国賃貸住宅新聞「人材難による仲介会社売上難をどう回避するか ~成約減の理由1位「仲介担当スタッフの減少」~」

原因2:給与水準が低い

賃貸仲介業は、売買仲介業と比較してインセンティブが少なく、給与水準が低い点も、人手不足になる原因のひとつです。

不動産業界では成果に応じた報酬体系を採用している企業が多いのですが、賃貸仲介は1件あたりの手数料が売買に比べて低額であり、大きな収入を期待しづらい構造となっています(※7)。

このような報酬の差から、優秀な人材ほど売買仲介を目指す傾向が強くなります。

(※7)出典:大阪府(おおさかふ)ホームページ「不動産取引における仲介手数料の上限額」

原因3:売買仲介業に比べてダイナミックな仕事がない

賃貸仲介業は、顧客を物件に案内して契約を取り付ける比較的シンプルな業務フローが中心です。

一方、売買仲介業では数千万円から数億円規模の取引にも携わる機会もあり、このような大型案件に関わることで得られる達成感や成長の機会は、賃貸仲介業では経験しにくい魅力となっています。

賃貸仲介は基本的なマナーやスキルが重要な業務ですが、専門性の高いスキルを習得できる機会は限られています。

「ダイナミックな仕事(挑戦的な仕事)がしたい」という人材は、規模の大きな案件を扱える売買仲介業に魅力を感じているのです。

この業務内容の差が、意欲的な人材の確保をむずかしくしている一因といえるでしょう。

【売買仲介業編】不動産業界が人手不足に陥る3つの原因

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一方、売買仲介業において、人手不足に陥る原因はおもに3つです。

  • 高い専門性が求められる
  • 年収の振れ幅が大きい
  • ストレス耐性や対人スキルが必須

順番に解説していきます。

原因1:高い専門性が求められる

売買仲介業では、

  • 法務知識
  • 税務
  • 資金計画

などファイナンスの知識と対応力が必要で、即戦力人材が求められています。

不動産取引は顧客の人生に大きく関わる重要な決断であるため、専門的な知識なしでは適切なサポートができません。

また継続的な法改正や、市場動向の把握も欠かせません。

さらに顧客の表面的な要望だけでなく、潜在的なニーズも理解し、将来的な生活変化も考慮した提案ができる深い洞察力も求められるのです。

こうした高いハードルが新規参入者にとって大きな壁となり、人手不足につながっています。

原因2:年収の振れ幅が大きい

不動産売買仲介では、成果報酬型を採用されているケースもあり、営業スキルの差が年収に直結します。

成果報酬型は基本給にくわえて、契約件数や取引金額などに応じたインセンティブが上乗せされる仕組みです。

営業成績によって月収が数十万単位で増減するため、安定した収入を求める求職者から敬遠される傾向があります。

成績が振るわない月は基本給だけとなり、生活水準の維持が困難になるリスクも。

原因3:ストレス耐性や対人スキルが必須

顧客との中長期的な信頼関係が必要であるため、ストレス耐性や対人スキルが強く求められる点も人材不足の原因です。

売買仲介は高額かつ人生の大きな決断に関わるため、常に大きなプレッシャーのなかで業務を行うことになります。

タイトなスケジュールのなかで交渉やトラブル対応を行う必要があり、精神的な負荷が大きいのが実情です。

また物件の魅力を端的に伝えたり、顧客の要望を正確に聞き出したりするコミュニケーションスキルも不可欠。

とくに事業用物件の売買では、専門的な知識に基づいた提案力や、複雑な条件調整を行うための粘り強い交渉力が求められます。

このように高いストレス耐性と対人スキルの必要性が、適性のある人材の絞り込みにつながり、結果として売買仲介業界の人手不足を引き起こしているのです。

【仲介業全般】 不動産業界が人手不足に陥る原因

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不動産業界が人手不足に陥っている原因として、以下の3つが挙げられます。

  • 長時間労働が常態化している
  • 個人の業務負担が大きい
  • 競合他社が多く競争が激しい

それぞれくわしく解説します。

原因1:長時間労働が常態化している

不動産業界は、残業の多い職業として知られています。

パーソル総合研究所の残業実態調査によると、不動産業界の残業時間の長さは全業界のなかでワースト4位となっています。(※8)

入学や就職、転勤の多い時期などは、新居探しや引越しの需要が増えると、どうしても残業が増えてしまうのです。

働く時間が長くなるほど、ストレスの増加やモチベーションの減少につながり、人材流出が起きてしまいます。

残業代は稼げるかもしれませんが、プライベートを重視したい人にとってはつらいと感じるでしょう。

さらに、上記のようなデータが公表されていることで、「不動産業界=長時間労働」というイメージがつき、新たな人材確保に悪影響を及ぼしていると考えられます。

参考

(※8):パーソル総合研究所「パーソル総合研究所×東京大学 中原淳准教授「希望の残業学プロジェクト」会社員6,000人を対象とした残業実態調査の結果を発表」

原因2:個人の業務負担が大きい

不動産営業に関わる仕事は多岐にわたるため、一人あたりの業務負担が大きくなりがちです。

たとえば、以下のような業務が挙げられます。

  • 接客
  • 物件のピックアップ
  • 内見
  • 追客
  • 契約書の作成
  • アフターフォロー など

所属する会社によっては、不動産ポータルサイトへの掲載やチラシの作成なども営業担当者が行うケースもあります。

業務が多くなれば一人あたりの負担が大きくなり、日頃の激務から身体を壊してしまう人も少なくありません。

数字に追われるプレッシャーとさまざまな業務による物理的負担が、人材の流出に拍車をかけていると考えられます。

原因3:競合他社が多く競争が激しい

不動産業界における競合他社の多さも、人材不足の原因の一つと考えられます。

令和5年度末 宅建業者と宅地建物取引士の統計について」によると、令和6年3月31日現在の宅地建物取引業者の数は、130,583です。(※9)

コンビニの店舗数が日本国内でおよそ56,600店舗ですので、コンビニよりも不動産業者のほうが2倍以上も多いことになります。(※10)

競合が多ければ、顧客獲得も容易ではなくなり、営業力や各社のマーケティング戦略などが重要になります。

顧客獲得の競争の激しさから、思うように成果が上がらず辞める人も少なくないでしょう。

参考

(※9):一般社団法人 不動産適正取引推進機構「令和5年度末 宅建業者と宅地建物取引士の統計について」

(※10):日本ソフト販売株式会社「【2024年版】コンビニエンスストアの店舗数ランキング」

不動産業における人材不足を解消する方法

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不動産業における人材不足を解消する方法は、以下の3つです。

  • SNSを活用してアピールを行う
  • 給与条件や労働環境の改善を行う
  • 業務支援ツールを導入する

それぞれくわしく解説します。

SNSを活用してアピールを行う

今やSNSは、重要な集客ツールの一つです。

不動産会社もInstagramやXなどのSNSを活用して、企業の内情をアピールしてみるのがおすすめです。

たとえば、社員の仕事風景や仲の良さ、扱う不動産の種類などを投稿してみましょう。

SNSを通して、働きやすさやアットホームな職場の雰囲気、仕事のイメージなどが伝わると、企業に対する興味関心の醸成になり人材確保につながる可能性が高まります。

一例として、【公式】近鉄不動産 新卒採用(仲介営業職)のInstagramアカウントを確認してみてください。

社員紹介や社員アンケート、就活に関するお役立ち情報などの投稿が豊富にあります。

給与条件や労働環境の改善を行う

人材確保を進める上で、給与条件や労働環境の改善も重要なポイントです。

離職者が多い場合や求人が集まらない場合には、労働環境に問題がないか見直してみましょう。

営業職の場合、基本給とは別に歩合が含まれるケースが多いですが、歩合の計算方法や支給方法、給与形態など従業員の生活に大きく関わる賃金面は十分に検討する必要があります。

また、勤務条件がよくなれば従業員のモチベーションも高まり、定着率の向上が期待できます。

労働環境の改善では、上層部だけで判断するのではなく、現場社員の声も採り入れながら改善を進めてみましょう。

業務支援ツールを導入する

労働環境を改善する一環として、業務支援ツールの導入もおすすめです。

社員一人が対応できる業務量には限界があります。

業務のデジタル化を進めて一人あたりの業務量を減らすことで、業務効率の改善と働きやすい環境の確保につなげることが可能です。

近年では、不動産業界向けの業務支援システムも数多くリリースされています。

自社にあったITツールを活用すれば、作業効率を大幅にアップする効果が見込めるでしょう。

以下の記事では、不動産DXのメリットを解説しているので、ぜひ参考にしてみてください。

https://iimon.co.jp/column/fudousan-dx-merit

人材不足の解消にも役立つ!不動産の業務効率化ツール「速いもんシリーズ」

速いもんシリーズ

「人材不足解消のために業務効率化ツールを導入してみたい」と考えていませんか?

業務効率化ツールと言ってもSFAやCRM、MAツールなど、さまざまなツールがあり、不動産業界で活用できるのか不安に感じている人もいるでしょう。

そこでおすすめしたいのが(株)iimonが提供している「速いもんシリーズ」です。

速いもんシリーズとは、不動産業に特化した業務効率化ツールで、機能によって以下9種類に分かれています。

自社に必要なサービスだけを組み合わせて使えるので、コスパがよいのも魅力。

サービス名

特徴

入力速いもん

不動産ポータルサイトへの入力作業を効率化

物出速いもん

賃貸物件の新着・更新情報の洗い出しを効率化

分析速いもん

ライバル会社の掲載状況を自動分析

変換速いもん

物件情報を1クリックでPDF・URL化

物元速いもん

賃貸物件情報の元付会社を簡単に特定

物確速いもん

売買・賃貸物件の募集状況をまとめて確認

検索速いもん

1サイトで複数サイトの物件検索が可能

見積速いもん

見積書をワンクリックで瞬時に作成

判定速いもん

入力間違い╱他社募集╱条件判定を1クリックで判定

なかでも入力速いもんは、誰でも簡単に業務効率化できる便利なツールです。

具体的には、以下のように「2クリック」で物件情報入力作業が完了できます。

  • 業者間流通サイトの物件情報を「1クリック」で保存
  • 物件入力画面へ「1クリック」で反映

動画では、さらにわかりやすく入力速いもんの魅力がわかるため、チェックしてみてくださいね。

【導入事例】物件入力や提案資料作成がスムーズに!営業スタッフがお客様対応に専念できる環境が実現

ここからは、実際に「入力速いもん」「変換速いもん」を導入した企業の実例を紹介します。

売買および賃貸の仲介業を営む「株式会社ROOTS」は、導入前、以下の課題を抱えていました。

  • 営業スタッフが物件入力作業をしており、営業に専念できない状況 
  • 提案資料の準備などに工数がかかる

しかし、「入力速いもん」「変換速いもん」の導入により、以下のような効果を実感されています。

  •  物件の新規登録において大幅に工数を削減
  •  提案資料の準備から送信、その後のお客様とのやり取りまでがスムーズになった

このように、スタッフの業務効率化を図ったことで、お客様対応へ専念できる環境が実現しています。

出典:(株)iimon お客様の声

まとめ

不動産業界における慢性的な人材不足は、大きな課題の一つです。

業種

人材不足の原因

賃貸仲介

・繁忙期が集中している

・給与水準が低い

・売買仲介業に比べてダイナミックな仕事がない

売買仲介

・高い専門性が求められる

・年収の振れ幅が大きい

・ストレス耐性や対人スキルが必須

不動産業界全体

・長時間労働が常態化している

・個人の業務負担が大きい

・競合他社が多く競争が激しい

人材不足の悩みを改善するには、「速いもん」シリーズのような業務効率化ツールの導入が効果的です。

物件入力・競合分析から、物件確認・検索・元付特定、資料作成までの時間を大幅に短縮し、少ないスタッフでも質の高いサービス提供が可能になります。

★「反響獲得」に速いもんシリーズを活用するコツはこちら

★「成約獲得」に速いもんシリーズを活用するコツはこちら

不動産業界の人材不足を根本から解決するには、業務効率化が不可欠です。

ぜひ確認して、貴社の業務改善に役立ててください。

authorこの記事を書いた人
iimon 編集部

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