不動産会社の独立開業をするとき、必須となるのが資金です。
開業時の資金だけでなく、その後の運営費用についても用意しておく必要があります。
「不動産業での独立を考えているが、資金の相場はどれくらいなのだろう」
「不動産開業に必要な費用は具体的にどのような内容があるのだろう」
「資金が足りない場合はどうしたらいい?」
このような悩みを抱えている方が多いのではないでしょうか。
本記事では、不動産の開業に必要な資金の相場や費用の内訳について詳しく解説します。
今後の資金繰りに不安がある方は、ぜひ参考にしてみてください。
目次
不動産の開業に必要な資金の相場
不動産の開業資金に必要な資金の相場は、400〜1,000万円ほどとされています。
ただし、全日本不動産協会に未加入の場合は、営業保証金の支払いが必要です。
双方の金額の違いをまとめると以下のとおりです。
- 全日本不動産協会に加入している場合:約400~1,000万円
- 全日本不動産協会に加入していない場合:約1,100~1,800万円
営業保証金の有無でかなり必要な金額が違います。
そのため、不動産業で開業する際は全日本不動産協会に加入することが望ましいでしょう。
とはいえ、営業保証金は支払い後に協会に加入すれば、払い戻しを受けられるので、現時点で加入していなくても心配する必要はないでしょう。
不動産開業に必要な4つの初期費用
次に不動産開業に必要なおもな4つの初期費用を解説します。
- 事務所開設費用
- 法人設立費用
- 営業保証金
- 宅建協会の入会金
事務所開設費用
開業には、まず事務所の開設が必須です。
事務所の開設費用の相場は、トータルで400万円程度となります。
ただし、自宅を利用する場合や安いテナントを借りることで物件に関する費用は大きく抑えることができます。
これに関しては、個人差が大きいため、逆にさらにかかってしまう場合もあるので参考程度にしていただくのがよいでしょう。
事務所開設費用には、以下のとおり物件費用に加えて、デスクや椅子、OA機器などの設備費用や通信費が必要です。
物件費用(敷金・初期賃料など) | 100万~300万円 |
設備機器費用(オフィス機器・家具など) | 20万~1,00万円 |
通信費 | 5万~10万円 |
必要な費用に幅はあるものの、最初はなるべくコストを抑え、無駄な支出を減らすようにしましょう。
法人設立費用
不動産仲介業として開業するには、法人設立費用が必要です。
法人の種類には「株式会社」「合同会社」などがあります。
例えば株式会社の場合は、242,000円ほどの費用が必要です。
法人設立にあたり必要な費用は次のとおりです。
登録免許税 | 15万円 |
定款認証手数料 | 5万円 |
収入印紙代 | 4万円 |
定款の謄本手数料 | 2,000円 |
定款認証手数料は、一律5万円だったところ、令和4年1月1日から基本金額に応じて以下の手数料額となりました。
- 100万円未満:3万円
- 100万円以上300万円未満:4万円
- その他:5万円
収入印紙代は紙の定款の場合は4万円が必要ですが、電子定款なら不要です。
その代わり、電子定款の作成には専用のソフトなどを購入しなければならず、結局それなりの費用がかかってしまいます。
また、宅建業を営むには宅地建物取引業免許が必要です。
免許は「国土交通大臣免許」「都道府県知事免許」の免許区分があり、申請手数料が異なります。
1つの都道府県に事務所を設立 | 都道府県知事免許 | 3万3,000円 |
2つ以上の都道府県に事務所を設立 | 国土交通大臣免許 | 9万円 |
営業保証金
不動産仲介業を開業するには、営業保証金を最寄りの供託所に供託する義務があります。
宅地建物取引業法で定められており、これを拒否することはできません。
営業保証金は本店と支店で異なり、以下の金額となります。
本店(主たる事務所) | 1,000万円 |
支店(その他の事務所) | 1か所あたり500万円 |
営業保証金は大変高額ですが、宅建協会への加入で免除されます。
代わりに弁済業務保証宅建協会に入会すれば、以下のようにかなり初期費用を抑えることが可能です。
ぜひ、覚えておきましょう。
本店(主たる事務所) | 60万円 |
支店(その他の事務所) | 1か所あたり30万円 |
宅建協会の入会金
営業保証金を免除できる宅建協会への入会金は団体や地域によって異なります。
目安としては以下のとおりです。
全国宅地建物取引業協会連合会 | 約130万~180万円 |
全日本不動産協会 | 約160万円 |
宅建協会に加入すると、レインズ(不動産流通情報に使用するコンピューターネットワークシステム)も利用できるようになります。
そのほかにもさまざまなサポートを受けられるため、加入することをおすすめします。
その他に必要となる資金
開業時に必要な初期費用に加えて、運営資金などの準備も必要です。おもな必要資金は次のとおりです。
- 事務的手続き委託費用
- 人件費
- 開業後の運営資金
事務的手続き委託費用
不動産会社を設立するには、さまざまな事務手続きが必要です。
通常手続きは税理士や司法書士に委託します。
委託費用は税理士や司法書士によって異なります。
おおよその目安としては、20〜30万円は必要と想定しておいたほうがよいでしょう。
人件費
会社の運営には人件費も必須です。
従業員の人数にもよりますが、以下のような費用が必要となります。
従業員の給与 | 約20万円(1名あたり) |
宅地建物取引士の資格手当 | 5,000~3万円 |
上記に加えて、従業員の社会保険料・交通費・ボーナスなどが必要です。
給与も従業員の年齢やスキルによっては、さらに高額になるでしょう。
なお、最初は従業員を雇わずに始めることで上記の費用は必要ありません。
事務所の開設費用と同様に、費用を抑えられるものはなるべく抑えるようにすることは最初の段階では重要です。
開業後の運転資金
開業後しばらくは、なかなか売上があがらずに苦しい資金繰りをしていくことになります。
そのため、開業時に3か月ほどの運転資金を用意しておくことが望ましいです。
毎月必要となる経費には、次のようなものがあります。
- 事務所の賃料
- 光熱費
- 通信費
- リース料
- 人件費
事務所の賃料によって大きく異なりますが、3か月分で約60万〜200万円程度が目安となるでしょう。
資金が不足している場合の対処方法
今まで紹介してきたとおり、不動産仲介業の開業には多額の資金が必要です。
現実的に、すべてを自己資金で用意するのは非常に難しいといえるでしょう。
資金が不足している場合は、融資を受けて開業しましょう。
実績のない開業時の融資は銀行ではなく、国が運営している「日本政策金融公庫」に相談するのがおすすめです。
日本政策金融公庫であれば無担保・無保証で借りられ利子も低いため、開業資金が不足しているときはぜひ相談してみてください。
ただし、誰もが気軽に融資を受けられるわけではないので、借り入れを検討するのであれば現実的な収支計画を考え、事業計画をまとめておきましょう。
事業計画の作り方がわからない、内容に不安がある、といった場合は相談もできます。
まとめ
今回は、不動産業の独立開業資金について解説しました。
必要資金は開業後3か月分の運用資金も用意しておく必要があるため、かなりの金額が必要です。
不動産の開業資金に必要な資金のおおよその目安は、約400〜1,000万円となります。
宅建協会に入会していれば、初期費用で高額な営業保証金が免除されるため、かなり初期費用を抑えられます。
もし、入会してない場合は、資金が約1,100~1,800万円必要になるので、宅建協会へ入会をおすすめします。
また、経営が軌道にのるまでは、資金繰りに苦しむこともあるでしょう。
資金調達に困ったときは、「日本政策金融公庫」に相談して融資を受けるのがおすすめです。
実績が伴わないうちは銀行から融資を受けるのは困難です。
このようなときに日本政策金融公庫は心強い味方となってくれるでしょう。
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iimon 編集部