不動産開業に必要な資金はどれぐらい?初期費用や開業までの流れも紹介

更新日:2025.07.24

独立開業

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「不動産開業に必要な資金は具体的にどれくらいなのだろう」

「不動産業での独立を考えているが、開業までの流れを知りたい」

このような悩みを抱えている方が多いのではないでしょうか。

不動産会社の独立開業を思い立った際に把握すべきなのが、開業までの流れと資金に関してです。

流れを把握することで、開業までの資金繰りを計画することができ、スムーズに独立することが可能です。

また、資金においては初期費用だけではなく、その後の運営費用についても用意しておく必要があります。

本記事では、

  • 不動産開業までの流れ
  • 必要な資金の相場
  • 費用の内訳

などについて詳しく解説します。

今後の資金繰りに不安がある方は、ぜひ参考にしてみてください。

不動産会社の開業に必要な3つのステップ

ステップ

不動産会社を開業するまでの大まかな流れは以下の通りです。

  1. 事務所の設立
  2. 専任の宅地建物取引士の登録
  3. 宅地建物取引業免許の申請

それぞれ詳しく解説します。

ステップ1:事務所の設立

不動産会社をはじめるにあたって、まず必要になるのが宅地建物取引業を行うための事務所です。

宅地建物取引業法によって、不動産取引を行うには宅地建物取引士の配置や継続的に業務を行える施設であることなどの決まりが定められています。

事務所においては、専用の出入り口を設けたり独立した事務所スペースを確保する必要があります。

法令を遵守して定められた基準をクリアしていれば、オフィスビルの一室ではなく、自宅やレンタルオフィスなどでも問題ありません。

事務所の立地やエリア、外観などは不動産経営に大きく影響するため、後々のことまで考慮して検討しましょう。

ステップ2:専任の宅地建物取引士の登録

不動産取引を行う場合、宅地建物取引業法では、従業員5人につき1人以上の割合で専任の宅地建物取引士を配置することを義務付けています(※1)。

宅地建物取引士は、顧客への重要事項説明や契約内容記載書への記名・押印など、資格保有者の独占業務を行えます。

そのため、宅地建物取引士がいないと独占業務も行えないということです。

なお、不動産事務所の開業者本人が宅地建物取引士の資格を保有している場合、従業員が5人以下であれば、新たな資格保有者を雇う必要はありません。

(※1)出典:公益社団法人全日本不動産協会「5. 開業に必要な条件」

ステップ3:宅地建物取引業免許の申請

最後に、宅建建物取引業免許を発行してもらうための許可が必要です。

  • 許認可を必要とする事業所が本店のみ:都道府県知事
  • 複数の都道府県に2店以上を開業する場合:国土交通大臣

から許可を得ます(※2)。

また、都道府県知事免許の場合は、本店の所在地にあたる都道府県に申請しなければなりません。

なお、免許取得にあたって、免許を受けられない「免許の欠格要件」も定められているので、事前に確認しておきましょう(※3)。

不動産業を開業する際の流れは、以下の記事でも詳しく解説しているのでぜひ確認してみてください。

https://iimon.co.jp/column/real-estate-agent-Starting-a-business#section-0

(※2)出典:国土交通省「宅地建物取引業の免許について」

(※3)出典:国土交通大臣「宅地建物取引の免許について」

不動産の開業に必要な資金の相場

資金計算

不動産の開業資金に必要な資金の相場は、400〜1,000万円ほどとされています。

ただし、保証協会に未加入の場合は、営業保証金の支払いが必要です。

双方の金額の違いをまとめると以下のとおりです(※4)。

  • 保証協会に加入している場合:約400~1,000万円
  • 保証協会に加入していない場合:約1,100~1,800万円

営業保証金の有無でかなり必要な金額が違います。

そのため、不動産業で開業する際は保証協会に加入することが望ましいでしょう。

とはいえ、営業保証金は支払い後に保証協会に加入すれば、払い戻しを受けられるので、現時点で加入していなくても心配する必要はないでしょう。

▼保証協会って何?ウサギ・ハトの違いや加入メリットについて詳しい記事はこちら

https://iimon.co.jp/column/real-estate-guarantee-association

(※4)出典:公益財団法人 全日本不動産協会 不動産保証協会 埼玉県本部「不動産で独立するときに資金はいくら必要?」

不動産開業に必要な4つの初期費用

不動産初期費用

次に、不動産開業に必要なおもな4つの初期費用を解説します。

  1. 事務所開設費用
  2. 法人設立費用
  3. 宅建免許の申請手数料
  4. 営業保証金または保証協会の入会金

1.事務所開設費用

開業には、まず事務所の開設が必須です。

事務所の開設費用の相場は、トータルで400万円程度となります。

ただし、自宅を利用する場合や安いテナントを借りることで物件に関する費用は大きく抑えることができます。

これに関しては、個人差が大きいため、逆にさらにかかってしまう場合もあるので参考程度にしていただくのがよいでしょう。

事務所開設費用には、以下のとおり物件費用に加えて、デスクや椅子、OA機器などの設備費用や通信費が必要です(※5)。

物件費用(敷金・初期賃料など)

100~300万円

設備機器費用(オフィス機器・家具など)

20~100万円

通信費

5~10万円

必要な費用に幅はあるものの、最初はなるべくコストを抑え、無駄な支出を減らすようにしましょう。

(※5)出典:公益財団法人 全日本不動産協会 不動産保証協会 埼玉県本部「不動産で独立するときに資金はいくら必要?」

2.法人設立費用

不動産仲介業として開業するには、法人設立費用が必要です。

法人の種類には「株式会社」「合同会社」などがあります。

例えば株式会社の場合は、24万2,000円ほどの費用が必要で、具体的な内訳は以下の通りです(※6)。

登録免許税

15万円

定款認証手数料

5万円

収入印紙代

4万円

定款の謄本手数料

2,000円

定款認証手数料は、一律5万円だったところ、令和4年1月1日から基本金額に応じて以下の手数料額となりました(※7)。

  • 100万円未満:3万円
  • 100万円以上300万円未満:4万円
  • その他:5万円

収入印紙代は、紙の定款の場合は4万円が必要ですが、電子定款なら不要です(※8)。

その代わり、電子定款の作成には専用のソフトなどを購入しなければならず、結局それなりの費用がかかってしまいます。

また、宅建業を営むには宅地建物取引業免許が必要です。

免許は「国土交通大臣免許」「都道府県知事免許」の免許区分があり、申請手数料が異なります。

1つの都道府県に事務所を設立

都道府県知事免許

3万3,000円

2つ以上の都道府県に事務所を設立

国土交通大臣免許

9万円

(※6)出典:一般社団法人スタートアップ協会「規制改革推進会議WG」2024年2月27日

(※7)出典: e-Govパブリック・コメント「公証人手数料令の一部を改正する政令案に関する概要説明」

(※8)出典:J-Net21[中小企業ビジネス支援サイト「株式会社の設立手続き」

3.営業保証金または弁済業務保証金分担金

不動産仲介業を開業するには、営業保証金を最寄りの供託所に供託する義務があります。

宅地建物取引業法で定められており、これを拒否することはできません。

営業保証金は本店と支店で異なり、以下の金額となります(※9)。

本店(主たる事務所)

1,000万円

支店(その他の事務所)

1か所あたり500万円

営業保証金は大変高額ですが、保証協会への加入で免除されます。

保証協会に弁済業務保証金分担金を納めることで、以下のようにかなり初期費用を抑えることが可能です。

ぜひ、覚えておきましょう。

本店(主たる事務所)

60万円

支店(その他の事務所)

1か所あたり30万円

▼弁済業務保証金分担金についてもっと詳しく知る

https://iimon.co.jp/column/repayment-service-guarantee-deposit

(※9)出典:国土交通省 近畿地方整備局「宅地建物取引業の範囲・免許権者・免許の要件等・有効期間について」

4.保証協会の入会金

営業保証金を免除できる保証協会への入会金は団体や地域によって異なります。

保証協会には、

  • 全国宅地建物取引業保証協会(ハト)
  • 不動産保証協会(ウサギ)

の2種類があり、それぞれ入会金の目安としては以下のとおりです(割引などを除く)。

全国宅地建物取引業保証協会(ハト)

約155万円

不動産保証協会(ウサギ)

約130万円

出典:(公社)東京都宅地建物取引業協会(公社)全日本不動産協会・不動産保証協会東京都本部「入会金について」

保証協会に加入すると、レインズ(不動産流通情報に使用するコンピューターネットワークシステム)も利用できるようになります。

そのほかにもさまざまなサポートを受けられるため、加入することをおすすめします。

https://iimon.co.jp/column/reins

その他に必要となる資金

資金必要

開業時に必要な初期費用に加えて、運営資金などの準備も必要です。おもな必要資金は次のとおりです。

  • 事務的手続き委託費用
  • 人件費
  • 開業後の運営資金

詳しく解説するので、参考にしてみてください。

事務的手続き委託費用

不動産会社を設立するには、さまざまな事務手続きが必要です。

通常手続きは税理士や司法書士に委託し、委託費用は税理士や司法書士によって異なります。

おおよその目安としては、20〜50万円は必要と想定しておいたほうがよいでしょう(※10)。

(※10)出典:日本貿易振興機構「日本での拠点設立方法」

人件費

会社の運営には人件費も必須です。

従業員の人数にもよりますが、以下のような費用が必要となります。

従業員の給与目安

約25~36万円(1名あたり)

宅地建物取引士の資格手当目安

3万円

出典:長野県移住支援金対象求人サイト「マスター不動産株式会社」

上記に加えて、従業員の社会保険料・交通費・ボーナスなどが必要です。

給与も従業員の年齢やスキルによっては、さらに高額になるでしょう。

なお、最初は従業員を雇わずに始めることで上記の費用は必要ありません。

事務所の開設費用と同様に、初期段階では、抑えられる費用はなるべく抑えることが重要です。

開業後の運転資金

開業後しばらくは、なかなか売上があがらずに資金繰りが苦しい時期が続くことが多いでしょう。

そのため、開業時に3か月ほどの運転資金を用意しておくことが望ましいです。

毎月必要となる経費には、次のようなものがあります。

  • 事務所の賃料
  • 光熱費
  • 通信費
  • リース料
  • 人件費

事務所の賃料によって大きく異なりますが、3か月分で約60〜200万円程度が目安となるでしょう(※11)。

(※11)出典:公益財団法人 全日本不動産協会 不動産保証協会 埼玉県本部「不動産で独立するときに資金はいくら必要?」

不動産開業時の5つの資金調達法

銀行口座

今まで紹介してきたとおり、不動産仲介業の開業には多額の資金が必要です。

そこで不動産開業時の資金不足への対策として、以下5つの方法を紹介していきます。

  • 日本政策金融公庫の融資を利用
  • 不動産担保ローンの活用
  • 補助金・助成金の利用
  • 民間金融機関からの融資
  • 親族・知人からの借り入れ

順番に解説していきます。

対策1:日本政策金融公庫の融資を利用

現実的に、すべてを自己資金で用意するのは非常に難しいといえます。

資金が不足している場合は、融資を受けて開業しましょう。

実績のない開業時の融資は銀行ではなく、国が運営している「日本政策金融公庫」に相談するのがおすすめです。

日本政策金融公庫であれば無担保・無保証で借りられ利子も低いため、開業資金が不足しているときはぜひ相談してみてください。

ただし、誰もが気軽に融資を受けられるわけではないので、借り入れを検討するのであれば現実的な収支計画を考え、事業計画をまとめておきましょう。

事業計画の作り方がわからない、内容に不安がある、といった場合に相談もできます。

対策2:不動産担保ローンの活用

不動産担保ローンは、土地や建物などの不動産を担保にして資金を借りる方法です。

不動産担保ローンの最大の特徴は、資金の使い道にほぼ制限がないことです。

そのため、事務所の内装や設備投資など、開業に必要な幅広い用途に活用できます。

また無担保ローンと比べて貸す側のリスクが抑えられるため、高額の融資を受けやすく、金利も比較的低めに設定されています。

借入期間も長期にわたることが多いため、月々の返済負担を軽減できる点も魅力です。

ただし万が一返済が困難になった場合は、担保にした不動産を失うリスクがあるため、慎重に資金計画を立てましょう。

不動産を所有している人にとっては、開業資金調達の有効な選択肢といえるでしょう。

対策3:補助金・助成金の利用

補助金・助成金制度は、国や自治体が政策に沿った事業に対して給付するお金で、返済の必要がない点が魅力です。

不動産開業で活用できるおもな制度としては、以下の4種類があげられます。

  • IT導入補助金
  • 小規模事業者持続化補助金
  • 事業再構築補助金
  • 教育訓練給付制度

たとえばIT導入補助金は、不動産管理システムや顧客管理ソフトなどのITツール導入費用の一部を補助する制度です。

これらの制度は申請手続きが複雑な場合もありますが、開業コストを大幅に削減できるため活用しましょう。

それぞれ補助上限額や補助率、補助の対象になるものが異なります。

さらにくわしく知りたい人は、下記を参考にしてください。

https://iimon.co.jp/column/real-estate-opening-of-business-subsidy#section-0

対策4:民間金融機関からの融資

銀行や信用金庫などの民間金融機関からの融資も、不動産開業の重要な資金調達手段のひとつです。

地方銀行や信用金庫は地域密着型の経営を行っており、地元での不動産業開業に理解を示してくれる場合があります。

民間金融機関の融資は、日本政策金融公庫と比較して審査が厳しい傾向にありますが、融資実行までのスピードが早い場合もあるのです。

また事業が軌道に乗ったあとの追加融資や、将来的な事業拡大時の資金調達においても、長期的な関係を築けるメリットがあります。

ただし金融機関によって審査基準や金利条件が異なるため、複数の機関に相談して自身に適した条件を見つけましょう。

地域の商工会議所や税理士などの専門家に相談すると、より効果的なアプローチが可能になるでしょう。

対策5:親族・知人からの借り入れ

親族や知人からの借り入れも検討するとよいでしょう。

銀行融資のような複雑な手続きや長い審査期間を待つ必要がないため、急いで資金が必要な場合にはとくに有効です。

ただし返済が遅れると、人間関係の悪化を招く可能性があるため注意が必要です。

事業計画をしっかりと説明すれば、後々のトラブルを防げるでしょう。

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物確速いもん

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まとめ

不動産 男性

今回は、不動産業で独立する際の流れと開業資金について解説しました。

不動産の開業資金に必要な資金のおおよその目安は、約400〜1,000万円です。

さらに、開業後3か月分の運用資金も用意しておく必要があるため、かなりの金額が必要です。

保証協会に入会していれば、高額な営業保証金が免除されるため、かなり初期費用を抑えられます。

もし、入会してない場合は、資金が約1,100~1,800万円必要になるので、保証協会への入会をおすすめします。

また、経営が軌道にのるまでは、資金繰りに苦しむこともあるでしょう。

資金調達に困ったときは、「日本政策金融公庫」に相談して融資を受けるのがおすすめです。

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iimon 編集部

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