不動産業の開業を検討している人のなかには、法人で開業するか、個人事業主で開業するか悩んでいる人も多いのではないでしょうか。
個人事業主の場合は、法人よりも簡単に開業でき、個人収入を高めることが可能です。
一方で、法人で開業する場合は、事業規模拡大や高い節税効果が期待できます。
しかし、それぞれにデメリットもあるので、十分に特徴を把握した上で検討することが大切です。
そこで、不動産開業で法人化を検討している方向けに、
- 個人事業主として不動産業を開業するメリット・デメリット
- 法人として不動産業を開業するメリット・デメリット
- 不動産開業で法人化する際に必要な資金
- 不動産開業で法人化した後に収益を安定させる3つのポイント
- 不動産開業で安定収益を獲得するためのおすすめシステム
などをご紹介します。
ぜひ最後までご覧いただき、思い描いた不動産経営を叶えていきましょう。
目次
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個人事業主で不動産業を開業する2つのメリット
開業する際の手間が法人に比べて少ない
高収入を目指せる
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個人事業主で不動産業を開業する3つのデメリット
社会保険制度を活用できない
赤字の繰越は3年までしかできない
法人と比べると信用度が低い
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法人で不動産業を開業する3つのメリット
社会的信用が得られやすい
個人事業主と比べて、税制が優遇されている
経営規模が拡大できる
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法人で不動産業を開業する3つのデメリット
赤字の場合も課税される
社会保険への加入が義務化されている
法人設立の資金に大金が必要になる
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不動産開業で法人化する際に必要な資金は約400~1,000万円
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不動産開業で法人化した後に収益を安定させる3つのポイント
不動産ポータルサイトへ多くの物件を掲載する
競合他社と差別化をはかる
業務効率化のために独自システムを導入する
- •
不動産開業で安定収益を獲得するには|業務効率化ツール「速いもんシリーズ」
【導入事例】閑散期でも1.5倍の反響を獲得!株式会社リブリッチ 桜木町店
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まとめ
個人事業主で不動産業を開業する2つのメリット
個人事業主で不動産業を開業するメリットは、以下の2つです。
- 開業する際の手間が法人に比べて少ない
- 高収入を目指せる
それぞれ詳しく解説します。
開業する際の手間が法人に比べて少ない
個人事業主として不動産業を始める場合、開業に必要な手続きは比較的シンプルです。
主な手続きは、以下の通りです。
- 宅地建物取引士の資格取得
- 免許申請に必要な書類の準備
- 事務所の確保
- 都道府県知事への宅地建物取引業免許の申請
法人設立の場合は、上記に加えて定款作成や出資金の準備、登記申請などの手続きが必要となり、時間も費用もかかります。
個人事業主の場合は、これらの手続きが不要なためスムーズに開業できます。
高収入を目指せる
不動産業は、物件1件あたりの取引額が大きいため、高額な収入が期待できます。
不動産業における主な収入源は、売買や賃貸取引において、売主(貸主)と買主(借主)の間の取引を仲介し、成約に至った際に支払われる仲介手数料です。
売買の場合には、取引金額が400万円を超える場合に以下の計算式で仲介手数料を算出します。(※1)
売買金額×3%+6万円+消費税
例えば、売買の仲介で5,000万円の物件取引に携わった場合には、成功報酬として約156万円+消費税の仲介手数料を得られます。
不動産会社を独立開業したあとの年収に関しては、以下の記事で詳しく解説していますので参考にしてみてください。
https://iimon.co.jp/column/real-estate-independence-annual-income
(※1)出典:国土交通省「<消費者の皆様向け>不動産取引に関するお知らせ」
個人事業主で不動産業を開業する3つのデメリット
個人事業主で不動産業を開業するデメリットは、以下の3つです。
- 社会保険制度を活用できない
- 赤字の繰越は3年までしかできない
- 法人と比べると信用度が低い
それぞれ詳しく解説します。
社会保険制度を活用できない
個人事業主の場合、社会保険に加入できません。
そのため、個人で国民健康保険と国民年金に加入する必要があるのです。
また、配偶者や子どもなどの扶養家族がいる場合でも、個人事業では扶養の概念がないため、それぞれで社会保険に加入する必要があります。
将来の年金受給額が会社員と比べて少なくなる可能性もあるので、社会保険制度を活用できないのは大きなデメリットと言えます。
赤字の繰越は3年までしかできない
個人事業主の場合、事業で発生した赤字を翌年以降に繰り越せる期間は最長3年間です。
一方、法人の場合は最長10年間の繰越が可能です。
不動産業は景気変動の影響を受けやすく、特に開業初期は経費がかさむ傾向にあります。
3年以上の長期的な赤字が続いた場合、税務上の優遇を受けられなくなる可能性があります。
法人と比べると信用度が低い
一般的に、取引先や金融機関からの信用度は、法人の方が個人事業主より高くなります。
これは以下のような場面で不利に働く可能性があります。
- 金融機関からの融資を受ける際
- 大手不動産会社との業務提携を行う際
- 優良物件の情報を収集する際
- 売主や買主との交渉時
特に不動産業界では、取引金額が大きいため、信用度の違いが取引機会の損失につながることがあります。
この問題は、実績を積み重ねることである程度解消できますが、開業初期は特に注意が必要です。
法人で不動産業を開業する3つのメリット
不動産開業で法人化するメリットとして、
- 社会的信用が得られやすい
- 個人事業主と比べて、税制が優遇されている
- 経営規模が拡大できる
がありますので、順番に解説していきます。
社会的信用が得られやすい
不動産会社を設立する際には、法務局で会社の情報を登記しなければなりません。
登記する内容には、
- 会社の名称
- 本店所在地
- 事業の目的
- 役員の氏名
など、多くの情報が含まれます。
会社が登記されれば、公的機関で存在が確認されていることを意味しますので、個人事業主よりも社会的信用が得られやすいんです。
社会的信用が得られると、金融機関の融資審査が通りやすくなるといったメリットがあります。
個人事業主と比べて、税制が優遇されている
個人事業主より法人の方が、利益に対する税率が優遇されている傾向にあります。
また個人事業主と法人の違いとして、
- 所得税が個人事業主は最大税率45%、法人の場合は法人税率が最大23.2%
- 法人の方が、経費として認められる範囲が広い
- 赤字を繰越できる期間が個人事業主は3年、法人は10年
など、経費や赤字繰越が可能な範囲が広いため、高い節税効果も期待できるでしょう。
個人事業主の場合、所得税は累進課税が適用されるのに対し、法人税は税率が最大23.2%と一定であることもメリットの1つ。
個人事業主は、年間の利益が900万円以上の場合には、所得税が33%となります。
個人事業主として、年間の利益が900万円を超える場合には、法人化がおすすめです。
経営規模が拡大できる
不動産会社を登記することで、公的機関で存在が確認されているため、社会的信用も高まり、銀行などからの融資も受けやすくなります。
個人事業主よりも資金繰りが容易となり、従業員を増員したり、取引先を拡大したりすることで、事業規模の拡大が期待できるでしょう。
しかし一気に従業員を増員したり、大きな設備投資は、ランニングコストなどの支出が増えるため、不動産経営の圧迫につながる恐れがあります。
経営規模を拡大する際には、収支計画を慎重に考えるなど、資金に余裕をもって取り組みましょう。
不動産会社のランニングコストに関しては、以下の記事で詳しく解説しているので参考にしてみてください。
https://iimon.co.jp/column/the-realtor-running-cost
法人で不動産業を開業する3つのデメリット
法人で不動産業を開業するデメリットは、以下の3つです。
- 赤字の場合も課税される
- 社会保険への加入が義務化されている
- 法人設立の資金に大金が必要になる
それぞれ詳しく解説します。
赤字の場合も課税される
法人の場合、収益に関係なく、年間7万円ほどの法人住民税の均等割が毎年かかります。
特に創業初期は収益が安定しない時期であり、課税が経営を圧迫する可能性があります。
個人事業主の場合は、赤字の際には少額の個人住民税の均等割しか課税されないため、この点では法人化のデメリットと言えます。
社会保険への加入が義務化されている
法人を設立すると、従業員を雇用した場合、社会保険(健康保険・厚生年金保険)への加入が義務付けられます。
これにより以下のような負担が発生します。
- 従業員の給与に対する社会保険料(会社負担分)
- 労働保険料(労災保険・雇用保険)
- 社会保険の事務手続きコスト
中小企業でも従業員を雇用する場合、これらの費用は無視できない金額となるのです。
従業員の社会保険料は会社が半分負担する必要があり、人件費を大きく押し上げる要因となります。
法人設立の資金に大金が必要になる
法人を設立する際には、以下のような初期費用が必要となります。
- 資本金
- 登記費用
- 定款認証費用
- 事務所開設費用
- 各種備品購入費
資本金は、会社の信頼度をはかるバロメーターです。
資本金1円でも会社設立はできますが、取引先・顧客からの信頼を得るためには、あまりにも低い金額は避けるべきでしょう。
不動産業を開業する人の多くは、100万円ほどを設定しています。
資本金や登記費用、定款認証費用などは、個人事業主の場合には不要です。
これらの初期投資は、事業開始前に準備する必要があり、創業時の大きな資金的ハードルとなります。
特に、不動産業は物件仕入れなどでも資金が必要となるため、法人設立費用が追加で必要になることは、開業を検討する際の重要な考慮点となります。
不動産開業で法人化する際に必要な資金は約400~1,000万円
不動産開業で法人化する際に必要な資金を以下の表にまとめました。
事務所の開設費用 | 約400万円 |
法人設立費用 | 約25万円 |
営業保証金 | ・本店1,000万円 ・支店ごとに500万円 |
宅建協会の入会金 | 約160万円 |
営業保証金は大変高額ですが、宅建協会へ加入すれば免除されます。(※弁済業務保証金分担金(本店60万円/支店ごとに30万円)の納付でOK)
また宅建協会へ加入すれば、レインズ(不動産流通情報に使用するコンピューターネットワークシステム)が利用できるんです。
宅建協会へ加入することで、初期費用を抑えながらさまざまなサポートが受けられるので、不動産開業で法人化する際には検討してみましょう。
不動産会社の開業にかかる初期費用については、以下の記事で詳しく解説しているのでぜひ参考にしてみてください。
https://iimon.co.jp/column/real-estate-opening-business-funds
不動産開業で法人化した後に収益を安定させる3つのポイント
不動産開業で法人化した後に収益を安定させるポイントは、以下の通りです。
- 不動産ポータルサイトへ多くの物件を掲載する
- 競合他社と差別化をはかる
- 業務効率化のために独自システムを導入する
順番に解説していきます。
不動産ポータルサイトへ多くの物件を掲載する
賃貸物件への引越しを検討している多くの人が、スーモなどの不動産ポータルサイトから情報を得ています。(※)
不動産ポータルサイトへ多くの物件を掲載することで、反響のきっかけづくりとなるでしょう。
不動産ポータルサイトへの掲載写真にこだわったり、物件の紹介文章を工夫することで、問い合わせ増加が期待できますよ。
(※)出典:PR TIMES「CRITEO株式会社『引越し・新生活に関する意識調査』」
不動産ポータルサイトの効果を最大化する方法に関して、以下の記事で詳しく解説しているので、ぜひ参考にしてみてください。
https://iimon.co.jp/column/increase_real_estate_feedback
競合他社と差別化をはかる
収益を安定させるためには、安定した反響や成約を得るためには、競合他社と差別化をはかる必要があります。
- 女性向け・外国人向けなどの専門性の高い物件を取り扱う
- 接客などの品質を向上させ、顧客満足度を高める
- SNSなどを活用した物件情報のPR
など、競合他社に劣らない「強み」があれば、法人化後も安定した不動産経営が実現する可能性が高まります。
業務効率化のために独自システムを導入する
日々の不動産業務を効率化し、労働環境や生産性を向上できれば、反響を確実に成約に結びつけることで、収益の安定につながります。
業務効率化は安定した収益のほかにも、
- 数値の誤入力などの単純ミスの防止
- ミスが減少することで修正作業が軽減できる
- 他業務に時間を割けるため、業務品質の向上
などにつながり、従業員のモチベーション維持や人件費削減が期待できます。
不動産開業で安定収益を獲得するには|業務効率化ツール「速いもんシリーズ」
「速いもんシリーズ」とは、不動産業務の効率化に特化したシステムです。
たとえば不動産ポータルサイトへの物件入力作業は、通常1件当たり20分程度かかりますが、「入力速いもん」を活用すれば1件5分程度で完結できます。
最短2クリックで作業が完結できるなど、操作性が高い特徴があるんです。
将来的に事業規模拡大に伴う業務量の増加に対応するためにも、業務効率化は必須と言えます。
また、豊富なラインナップから好きなサービスだけを自由に組み合わせられるため、費用対効果が高いのも魅力。
「速いもんシリーズ」の各サービスや特徴を以下の表にまとめました。
サービス名 | 特徴 |
不動産ポータルサイトへの入力作業を効率化 | |
賃貸物件の新着・更新情報の洗い出しを効率化 | |
ライバル会社の掲載状況を自動分析 | |
物件情報を1クリックでPDF・URL化 | |
賃貸物件情報の元付会社を簡単に特定 | |
賃貸物件の募集状況をまとめて確認 | |
見積書をワンクリックで瞬時に作成 | |
複数サイトの物件検索が同時にできる | |
入力間違い╱他社募集╱条件判定を1クリックで判定 |
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(※)2020年10月1日以降に宅建免許を取得される法人様限定
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- 反響獲得や物件精査の制度に課題があった
- 業務効率化により、作業時間が大幅に短縮され、物件精査の判断軸を統一できた
- 直感的な操作が可能なため、新しい従業員へも教えやすく、定着率が良い
物件の空室確認の効率化により、常に新着情報を取り扱えたことや、効果的な物件精査で多くの反響や成約に結びついているようです。
まとめ
不動産開業での法人化には、
- 社会的信用が得られやすい
- 個人事業主と比べて、税制が優遇されている
- 経営規模が拡大できる
などのメリットがあり、とくに年間の利益が900万円以上の個人事業主は、法人化することで高い節税効果があります。
また法人化する際には、約400~1,000万円の資金が必要になります。
宅建協会へ加入すると、低コストで多くのサポートが受けられるため、法人化の際には検討してみましょう。
さらに不動産開業で法人化しても、収益が自然と安定するわけではないので、業務効率化などの取り組みが必要不可欠です。
業務効率化により、生産性や業務品質を向上することで、反響を確実に成約につなげることが期待できます。
不動産業務の効率化なら「速いもんシリーズ」がおすすめです。
豊富なラインナップから好きなサービスだけを自由に組み合わせられるため、費用対効果が高いことも魅力。
法人化で、理想の経営や社会的信用などの確かな地位を獲得するとともに、業務効率化に取り組むことで安定した不動産経営を実現しましょう。
iimon 編集部