おとり広告とは、実際には存在しない物件やすでに売却・賃貸済みの物件を、あたかも売り出し中であるかのように掲載している広告のことです。
不動産業界における不正な広告手法の一つですが、不動産会社側も気がつかずに、おとり広告を掲載しているケースもあります。
ただし、いくら気がつかなくても不正行為には変わりないため、罰則を受ける可能性があります。
そこでこの記事では、
- おとり広告の定義
- おとり広告を行った場合の罰則
- おとり広告の違反事例
- おとり広告がなくならない理由
- おとり広告を行わないための対策
などを解説します。
おとり広告がなくならない理由や行わないための対策を把握しておくことで、予期せぬおとり広告を未然に防ぐことが可能です。
また記事後半では、広告運用や物件管理を効果的に行う方法を解説していますので、ぜひ最後まで読み進めてみてください。
目次
おとり広告の定義
おとり広告の定義は、売る意思のない物件や販売していない物件を広告掲載することです。
おとり広告を掲載すると、広告を見て問い合わせや来店した顧客に対して別の物件を紹介することになるため、宅建業法と表示規約のいずれにおいても禁止されています。
宅地建物取引業法の第三十二条によると、以下の広告表示が禁じられています。(※1)
- 著しく事実に相違する表示
- 実際のものよりも著しく優良もしくは有利であると人を誤認させるような表示
広告上では売買可能とうたっていながら、現実には別の物件の売買を勧めるので、著しく事実に相違する表示に該当し、誇大広告にあたるわけです。
不動産の表示に関する公正競争規約の第21条においては、以下の3つが広告表示の禁止に該当すると記載してあります。(※2)
- 物件が存在しないため、実際には取引することができない物件
- 物件は存在するが、実際には取引の対象となり得ない物件
- 物件は存在するが、実際には取引する意思がない物件
表示規約においては、実際には取引の対象となり得ない物件に該当するので、表示規約違反にあたるのです。
出典:
(※2)不動産公正取引協議会連合会「不動産の表示に関する公正競争規約」第21条(おとり広告)
おとり広告を行った場合の罰則
おとり広告は不動産取引の公正さを損なう行為として、厳しい罰則を受けなければなりません。
具体的には、違反の度合いや過去の違反歴によって、指示処分・業務停止処分・免許取消処分のいずれかが下されます。(※3)
免許取消処分を受けるような重大な違反の場合は、6か月以下の懲役、または100万円以下の罰金が課されます。(※4)
表示規約違反に対しては、景品表示法によって措置命令が出され、命令に従わない場合は2年以下の懲役または300万円以下の罰金が課される可能性があるのです。(※5)
適切な広告運用は、顧客の保護だけでなく、自社の信頼性維持にも関わります。
出典:
(※3)宅地建物取引業法「第六章 監督」
(※5)景品表示法「第六章 罰則」
おとり広告の違反事例
不動産業界では、おとり広告の違反事例が後を絶ちません。
公益社団法人 首都圏不動産公正取引協議会は、不動産における違反事例を公表しています。(※6)
たとえば、2024年度7月の違反事例では、以下の事例が掲載されています。
画像出典:公益社団法人 首都圏不動産公正取引協議会「2024年度7月の違反事例」
この事例の違反ポイントは、
- すでに成約済みの物件を掲載し続けている
- 物件情報の必要事項を記載していない
- 本来はない設備の情報を掲載している
点です。
処罰の対象となると、違約金という罰則だけではなく、公表されることで顧客からの信用を失うリスクもはらんでいます。
出典:(※6)公益社団法人 首都圏不動産公正取引協議会「2024年度7月の違反事例」
▼不動産広告の法律やルールについてさらに詳しく
https://iimon.co.jp/column/Real-Estate-Advertising
不動産でおとり広告がなくならない理由
全国賃貸住宅新聞によると、不動産業界でおとり広告がなくならない要因は以下の通りです。(※7)
- 物件情報を消し忘れてしまう
- 他社で契約したあとの連絡が遅くおとり広告の状態が続いてしまう
- 人気物件のため掲載を下げたくない
故意におとり広告にするのではなく、日々の業務の忙しさから、契約が決まった物件の広告を消し忘れるケースがあります。
また、他社で成約が決まった場合に、成約情報が即座に共有されないこともあり、おとり広告の状態になることも。
悪意はなくても、業務効率や情報伝達といった原因で、意図せずおとり広告を掲載してしまう可能性があるのです。
出典:(※7)全国賃貸住宅新聞「おとり広告はなぜ無くならないのか」
自社でおとり広告をしないための対策
意図せずにおとり広告を掲載してしまわないように、以下2つの対策を実践してみましょう。
- 物件情報管理の仕組み化を行う
- 広告運用・物件管理の業務効率化につながるツールを導入する
それぞれ詳しく解説します
物件情報管理の仕組み化を行う
おとり広告を防ぐには、物件情報管理の仕組み化が不可欠です。
たとえば、以下のような方法が挙げられます。
- 契約済みになった物件はリアルタイムで削除する
- バックオフィス人員を採用する
- 1週間に1回は取引状況の確認を行う など
まずは、広告掲載している物件が契約になった際に、その場で対象の広告を削除することが大切です。
広告掲載の更新予定日を設定している会社もありますが、更新予定日を待つことで消し忘れる可能性もあります。
ですので、契約が成立した日には広告を削除するように社内でルール化してみましょう。
ただし、営業担当者だけでは、広告を管理するのは難しいため、バックオフィスの人員を採用するのも有効的です。
さらに、1週間に1回ほど、社内やチーム内で取引状況の確認と掲載中の広告の照らし合わせを行うと、おとり広告を未然に防ぐ可能性が高まるでしょう。
広告運用・物件管理の業務効率化につながるツールを導入する
おとり広告対策として、業務効率化ツールの導入も有効的です。
なぜなら、日々の業務が忙しいことから掲載している物件情報まで管理が行き届かないこともあるからです。
そこで、業務効率化ツールを導入し、正確に物件管理を行える環境を整えてみましょう。
たとえば、ポータルサイトへの入力業務を効率化できるツールや、物件の新着・更新情報の洗い出しができるツールを導入することで、広告の更新業務を効率化できます。
業務効率化ツールを導入する際は、使い勝手のよさを確認するためにも、無料お試しができるものを検討してみましょう。
▼具体的におすすめの不動産向け業務効率化ツールは?
https://iimon.co.jp/column/real-estate-dx-tool
広告運用・物件管理を効果的に行うなら「速いもんシリーズ」
おとり広告を出さないためには、日々の業務のなかで掲載広告をチェックすることも大切です。
しかし、多忙ななかで業務を増やすと、効率が悪くなり、営業活動や顧客とのコミュニケーションに悪影響が出る可能性もあります。
そこで活用したいのが、(株)iimonが提供している「速いもんシリーズ」です。
速いもんシリーズとは、不動産業の業務効率化を簡単・便利に推進してくれるツールで、機能によって以下8種類に分けられます。
サービス名 | 特徴 |
不動産ポータルサイトへの入力作業を効率化 | |
賃貸物件の新着・更新情報の確認を効率化 | |
ライバル会社の掲載状況を自動分析 | |
物件情報を1クリックでPDF・URL化 | |
賃貸物件情報の元付会社を簡単に特定 | |
賃貸物件の募集状況をまとめて確認・物件確認を効率化 | |
1サイトで複数サイトの物件検索が可能 | |
見積書をワンクリックで瞬時に作成 |
なかでも最新の取引状況を確認し、意図せぬおとり広告を防ぐためには
がおすすめです。
【導入事例】物件確認のタイムラグが減少し、来店率や成約率も改善!株式会社三好不動産様
ここからは「物出速いもん」「物確速いもん」を導入した企業の実例を見ていきましょう。
売買や賃貸仲介、不動産有効利用コンサルティングなどを行う「株式会社三好不動産」では、導入前に以下の課題を抱えていました。
- 募集が終了したタイミングとそれを把握するタイミング、掲載を落とすタイミングにタイムラグがあった
- 募集が終了した物件に対する問合せがあり、来店や成約に繋がりにくい状況があった
しかし、速いもんシリーズの導入によって、以下の成果を得られました。
- 空室確認や条件変更、掲載を落とす処理などが一貫して行えるため、タイムラグが格段に減った
- 最新の掲載物件に対して問合せがあるので、そこからの来店率や成約率が改善された
実際の募集状況を正確に掲載できるようになったと、お喜びの声をいただいています。
まとめ
おとり広告が生まれる背景には以下のような要因が考えられ、意図せずともおとり広告になってしまうケースがあります。
- 物件情報を消し忘れてしまう
- 他社で契約したあとの連絡が遅くおとり広告の状態が続いてしまう
しかし、おとり広告を出してしまうと罰則の対象になりますし、業務停止・免許取り消しを命ぜられる可能性もあるのです。
そのため、日頃からおとり広告をしないための対策として、こまめな物件情報管理を行うようにしましょう。
また、不動産DXツールを活用した業務全体の効率化も、おとり広告を生み出さない対策として有効的だと考えられます。
(株)iimonが提供している「速いもんシリーズ」であれば、物件の新着・更新情報を洗い出したり、不動産ポータルサイトへの入稿業務を効率化することが可能です。
意図せぬおとり広告を防ぎ、会社の信用を守るためにも、ぜひ導入を検討してみてください。
iimon 編集部